テレビ東京、「池袋エンタメビル」参入の勝算 落ち込む広告、放送外事業を育成できるか

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テレビ局は今、大きな逆風のさなかにある。放送収入の柱であるスポット広告が大幅に減少しているのだ。2019年4~9月期のスポット広告の売り上げは前年比で10.8%も落ち込んでいる。

テレビ東京は夏場から制作費の大幅削減を進めたが、視聴率の悪化や広告収入の減少をカバーできず、2020年3月期の連結営業利益は5月時点の業績予想を11.4億円下方修正し、前期比14.2%減の51億円と見込む。

「NARUTO」「BORUTO」の次は?

テレビ東京はかねて、デジタル広告の増勢などを背景に、テレビ広告収入の落ち込みを想定し、アニメ版権などの放送外収入の拡大を推し進めていた。

「社長就任以来、テレビ広告が落ちる可能性があると言ってきた。そのため、(放送外収入の割合を大きくして)収益構造の改革を行ってきた」(小孫社長)

さらに「放送収入の落ち込みが(想定よりも)早まっている。もしかしたら天の声は(放送外収入の拡大を)急げよということかもしれない」(小孫社長)とし、放送外の売上総利益(粗利)で40%以上(連結ベース)にしていく目標を掲げた。放送外で40%の粗利を確保する目標は、サンケイビルを子会社に持つフジ・メディア・ホールディングスや、「赤坂の地主」とも呼ばれるTBSホールディングスと比べて、不動産保有が少ないテレビ局としては異例のことだ。

テレビ東京の放送外収入の柱はアニメ版権で、これを中心としたライツ事業は好調だ。しかし、見通しは明るくない。テレビ東京のアニメで売上高1位の「NARUTO」が初めてアニメ化されたのは2002年と、今から15年以上も前になる。

2017年から放送開始された「BORUTO」などが後に続くが、それ以外に大きく育っている作品は見当たらない。11月の決算説明会では、「NARUTOやBORUTO以外に育っている作品はないのか」というアナリストの質問に対し、「NARUTO、BORUTOはあまりに大きい。これクラスの新作は出ていない」(小孫社長)と話す。現在、「七つの大罪」や「妖怪ウォッチ!」などを放映しているが、大ヒット作品に育っておらず、問題は根深い。

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