子どもの読解力を育む最強の2大育児ツール 東大に4人の子を合格させた「最初の教育」

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それは、絵本と童謡です。私はこの2つが幼児教育の最強ツールだと思っています。

絵本と童謡のすばらしい点は、0歳児からできる幼児教育だということです。0歳児は話したり書いたりすることはできませんが、見たり聞いたりすることはできます。

そして、赤ちゃんはお母さんの声を聞くことが大好きなので、この時期にたくさん言葉のシャワーを浴びせると、どんどん子どもたちの中に言葉の貯金がたまっていくのです。そしてこの貯金が、将来の読書週間や読解力に結び付くと思うのです。

もちろん、どんな言葉でもいいというわけではありません。正しく、美しい日本語を浴びせてあげる必要があります。そしてそのために一番効果的でお手軽なツールが絵本と童謡なのです。

豊かな感情や日本人としての土台も育まれる

童謡は本当に正しい日本語を基礎に作られているので、大人でもその言葉の流れに感動します。最近は、言葉のアクセントを無視した歌も多いだけに、童謡の歌詞に使われている日本語はわかりやすく聞き取りやすいので、とても美しく、耳に響きます。メロディーがあるため、耳に残りやすく、子どもの心を打つのです。

絵本は、作家が子どもを大切に思って創作し、人間を含む生きとし生けるものに対する考え方が平易な日本語で書かれています。なんと言ってもすばらしい絵がありますから、絵だけを見ても十分楽しめるのです。赤ちゃんの頃からでも字のない「赤ちゃん絵本」を眺めて楽しむこともできるので、生まれたときから本と親しむことができるのです。

絵本や童謡の効用は読解力だけではありません。さまざまな風景に出会うことで感情的にも豊かになり、また「ブタさんとキツネさんがケンカをしました」といった物語を読むことで、善悪や人としてあるべき行動規範にも触れることになります。

その子の人格形成に大きな影響を与えるこれらの原始的な感情や価値観は、なかなか後付けできません。小学生になってから善悪を教えようとしてもお説教っぽくなってしまいますね。幼少期に絵本や童謡に親しませることで、自然とそれらを吸収させることができるのです。

「三つ子の魂百まで」という言葉がありますが、3歳までに絵本と童謡に多く触れさせれば触れさせるほど、子どもの感情も、価値観も、読解力も、豊かなものになります。ぜひ皆さんも、実践してみてください。

佐藤 亮子 「東大理Ⅲに合格した3男1女」の母

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さとう りょうこ / Ryoko Sato

大分県出身。津田塾大学卒業。大分県内の私立高校で英語教師として勤務。結婚後、夫の勤務先の奈良県に移り、専業主婦に。長男、次男、三男、長女の4人の子どもを育てる。長男、次男、三男は灘中学・高等学校を経て、東京大学理科III類に進学。長女は洛南中学・高等学校を経て、東京大学理科III類に進学。現在、長男、次男、三男は医師として活躍。長女は東大医学部の学生。その育児法、教育法に注目が集まり、全国で講演を行う。『頭のいい子に育てる 3歳までに絶対やるべき幼児教育』(東洋経済新報社)ほか著書多数。

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