不登校の小中学生、大学が「居場所」になるのか 福岡の筑紫女学園大学が新事業を始めた理由

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筑紫女学園大学の体育館で、大学生と一緒にバスケットボールやバレーボールなどを楽しむ不登校の小中学生(筆者撮影)

福岡県太宰府市にある筑紫女学園大学。平日の昼間に大学の体育館をのぞくと、子どもと大学生、大人が一緒にボールで遊んでいた。自由な雰囲気でワーワーと盛り上がっている。子どもたちは、いわゆる不登校の小中学生。だが、「不登校」という言葉につきまとう暗いイメージはなかった。

筑紫女学園大学は、太宰府市教育委員会と連携して、不登校の子どもの居場所づくり「キャンパス・スマイル」事業を今春スタートした。同事業は、太宰府市内の小中学生を対象に、学校を休みがちな子どもの居場所を大学キャンパス内に作ろうというもの。学内の研修を受けて認定された約80人のスマイル・サポーターが、子どもの伴走者として一緒に活動する。

同大には、教員や幼稚園の先生、カウンセラー、ソーシャルワーカーなどを目指す学生がいる。彼女たちにとって、子どもと接する機会は学びとなる。サポーターの1人は「私が中学生のとき、大学生のお姉さんたちが学校に来て一緒に過ごしてくれたことで救われました。だから、今度は私がそんな存在になりたい」と活動に加わった。

不登校の小中学生は増加の一途

文部科学省によると、不登校(年間30日以上欠席)の小中学生は2018年度に全国で約16万5000人となり、年々増えている。不登校生の6割ほどが90日以上欠席し、長期化の傾向がある。全国の自治体の約6割は、不登校の子どもが通う教育支援センター(適応指導教室)を設置している。

太宰府市では、登校したくでもできない子どもたちが通える「つばさ学級」を開設。小学4年生から中学3年生までを対象とし、今は18人が在籍している。月曜から金曜まで学習・体験活動があり、学校長が認めた場合は学校の出席日数として扱われる。

キャンパス・スマイルは週2日開催。つばさ学級から月に1日8~10人が来るほか、自宅から通う子が7人いる。来る日と滞在時間は自分のペースで選択できて、子ども1人に2人のサポーターがついてゲームやスポーツ、勉強など好きなことをする。

この日、キャンパス・スマイルに参加していたのは、つばさ学級の小中学生9人。大学の食堂で昼ご飯を食べた後、本人たちの希望に応じて体育館チームと図書館チームに分かれ、サポーターと楽しそうに過ごしていた。

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