強気相場は今後2年ぐらい続く。新興国市場への投資比率引き上げを--“伝説のファンドマネジャー” アントニー・ボルトン氏に聞く

拡大
縮小


 確かに中国株などに対してバブルという声があるのは承知している。しかし、バブルはたった1年で生成されるものではない。数年かけてできるものだ。私は、中国株に対して中期的に楽観視している。

--今いちばん有望視しているマーケットは。

すべての市場をフォローしているわけではないが、全体的にいえば、コモディティ(資源・素材)や輸出への依存度があまり高くないエマージングマーケット(新興国市場)が有望と考えている。つまり、内需主導で経済成長できる新興国市場ということだ。

--その理由は。

コモディティ依存の経済は、世界経済のシンクロが必要。つまり、2~3年前のように世界各国がトレンド以上の成長を遂げている時には好調だが、今後予想されるように先進国市場の成長があまり高くない時には、あまり芳しくないだろう。

また、輸出依存経済についても、輸出先市場の中心は欧米市場であり、今後は低い成長力が見込まれる。その結果、株式投資においてもあまり有望視できない。

--内需主導の新興国市場で有望なのはどこか。

私は特に中国に注目している。中国政府は経済の輸出依存度を引き下げるために極めて積極的な行動を取っている。巨額のインフラ投資計画や信用拡大が実行された。これが、今後2~3年における良好な経済環境の基礎を築くと見ている。もちろん、一本調子での株価上昇はありえず、来年のどこかで調整する期間もあるだろうが、トレンドとしては上向きだろう。押し目狙いの投資家も多く、大幅な下落はないだろう。

確かにバリュエーション的には、もはや非常に割安といえる水準ではないが、リーズナブルな水準とはいえる。中国には今後10年、15年にわたり成長が続く分野があり、投資家にとって魅力的だ。現在のバリュエーションが同じであれば、米国株よりも中国株のほうが今後2~3年ははるかに有望だろう。市場のボラティリティ(変動性)は高いが、長期的に見る必要がある。

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT