チャットアプリ普及で、電話はいらなくなる? ワッツアップ買収とメッセージングの未来

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震災から3年、当時のメッセージングを思い出す

2014年3月で、東日本大震災から3年が経つ。原発事故も復興もまだまだ進行中という状況ではあるが、それでも人々の関心が薄れていく「風化」に直面しているのが現実だ。「助け合いジャパン」は47都道府県の学生たちが東北3県にバスでボランティアへ向かう「きっかけバス」を企画しているが、彼らの今年のテーマも風化を食い止め、被災地からの教訓による防災・減災を日本中に広げることだという。

震災のような非常時に、メッセージングの多重化の重要性を感じたエピソードがある。

筆者は当時、ちょうど東日本大震災の際、筑波大学の学会に参加し、発表を待っていた。震災が起こってから、東京にいる家族にSMSやケータイメールなどで連絡を送ったが、それらが届いたのは夜以降で、無事を伝え合うことができたのはツイッターの投稿とフェイスブックのメッセージだった。

サービス提供側としては、非常時でも安定的に連絡が取れる手段を目指しているが、ユーザー側はお互いに複数の連絡手段を用意しておくという対策が必要だということがよくわかる体験だったと振り返ることができる。普段の何気ないコミュニケーションを支えている「パス」として機能しているメッセージングサービスについて、今一度、確認する、という備えもしておくとよいだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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