トヨタ「新型ヤリス」のデザインは何が売りか 躍動感あふれる姿形を個性として取り入れた

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ヤリスのロゴは左リアコンビランプ脇に装着(筆者撮影)

さらに気づいたのは、フロントまわりではヘッドランプからキャラクターラインへのつながり、後ろ姿ではリアウインドーからコンビランプ、フェンダーにかけてのつながりを考えてあり、まとまりのあるデザインになっていることだ。デザインに厳しい欧州市場を考えた、練り込まれた造形と感じた。

抑揚を強調したインテリアデザイン

インテリアデザインもエクステリア同様、抑揚を強調したダイナミックなデザインである。メーターは廉価版を除きデジタルだが、単なる大きなパネルとせず、小さな丸型2眼として、径が小さめのステアリングともどもスポーティーなイメージを出すことに成功している。

インパネ中央の大型ディスプレーの下に、エアコンのルーバーが隠れるように付いていることが気になった人がいるかもしれない。センターのルーバーは後席に風を届ける目的もあり、その目的に徹した形だ。ドアグリップの近くにあるドアオープナーは、慣れると手の移動距離が少なくて楽だった。

インパネは歩行者保護などの要件がある最近の車種としては低めで、視界は斜め後ろを含め不満ない。高めに座る後席は座面の傾きが強いのが特徴で、身長170cmの筆者は頭が天井に着くことはなく、ひざの前は10cmほどの余裕がある。外から予想するほど狭くはない。

荷室のフロアはこの後席の背もたれを倒した高さにそろえてあり、下に収納スペースを持つ2段構造。スペースそのものは平均的で、キャビンを含め広さにこだわった本田技研工業「フィット」とは対照的だ。ただ広さで言えば軽自動車のハイトワゴンも選択肢に上がるわけで、欧州でも通用する走りを目指したヤリスとは方向性は異なる。

走りついて少し触れておくと、今は輸入が途絶えた欧州フォード「フィエスタ」を思い出した。独自の味わいこそ薄いものの、硬質なボディーとトルク感のあるエンジン、軽快な身のこなしなどが似ていた。欧州のライバルと正面から勝負するコンパクトカーであることが理解できた。そこに躍動感あふれるデザインを個性として取り入れたのがヤリスなのだと感じた。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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