われわれはスーパーマンではない 【特別対談】神原一光×太田彩子(3)

✎ 1〜 ✎ 32 ✎ 33 ✎ 34 ✎ 最新
拡大
縮小
 各業界の若手トップランナーたちに仕事術を語ってもらう「ジセダイ勉強会」を主宰する、NHKの神原一光ディレクター。前回は、20代の安易な転職志向に対する危機感や、20~30代のモチベーションが上がるマネジメントについてお話いただきました。最後となる今回は、世界的キャリアウーマンとして名を馳せるあの人の話題からです。
神原一光(かんばら・いっこう) 1980年生まれ。日本放送協会 制作局 第1制作センター 青少年・教育番組部ディレクター。NHK「ジセダイ勉強会」を発案、主宰する。主な担当番組に「週刊ニュース深読み」「しあわせニュース」「おやすみ日本 眠いいね!」。学生時代、テニスのジュニア日本代表だった経験から、(公財)日本テニス協会・普及常任委員として、テニスの普及活動にも取り組む。著書に『ピアニスト辻井伸行 奇跡の音色 ~恩師・川上昌裕との12年間の物語~』(アスコム/文春文庫)、会社にいやがれ (U25 Survival Manual Series)2月中旬、ディスカヴァー・トゥエンティワンより新刊が発売。

対談第1回目:「代案」を出さないと世代交代は起きない こちら

対談第2回目:30歳までに転職しないといけない、というワナ こちら

「シェリル・サンドバーグ」より「佐々木監督」

太田 20代、30代のこれからの働き方は、どうなっていくでしょうか。

神原 何年も前から片働きより男女共働きが多い時代になってきています。わが家も夫婦で共働きですし、女性の管理職を増やしたほうがいいという意見もありますが、女性の中には、管理職になりたい人となりたくない人がいるのも確か。

太田 うちの営業部女子課でも、すごい上昇志向の人がいるかと思えば、大多数は「スーパーウーマンにはなりたくない」と明言してます。それよりも、「仕事も家庭も両方うまくいきたい」。これが主流の価値観だと思っています。

神原 僕は、シェリル・サンドバーグ(Facebook社の女性COO)の著書『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』や『日経WOMAN』を読んで、全員そこにあこがれろっていうのは、マネジメントの方法として絶対におかしいと思っています。

太田 ええ、働き方はそれだけじゃないですから。実際、女性たちに聞いても「シェリルは上すぎてまねできない」と言います。

神原 多様な働き方を示す「ダイバーシティ」って言葉もありますけど、今、働き方に多様性があるのは、女性なんですよ。産休・育休・時短・在宅勤務・直行直帰など、女性の働き方はかなり時代を先行してるから。だから、女性をどうマネジメントしていくかを突き詰めたら、実は、男性をも巻き込んだダイバーシティ時代のマネジメントのゴールに行き着けるんじゃないかと思います。僕は現在、管理職ではないので、こういうことを言うのはおこがましいかもしれませんが……。

太田 同世代の人を取材している実感として、そう感じるのですね。その答えこそが、ダイバーシティの本質であると。

神原 だから、マネジメントサイドとしては、「シェリル・サンドバーグ」の本じゃなくて、「なでしこジャンパン」の佐々木則夫監督の本を読んだほうがいいんじゃなですかと。シェリルは超例外的なスーパーウーマンですからね。それに子育てしてると聞きますが、さぞかし潤沢なサポート態勢なのでしょうと(笑)。

次ページ年収300万円でいいという女性もいる
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT