6Pチーズ「とろッピ~」CMが女性に大好評の凄み 明治やニトリの人気CMはより「磨き」がかかる

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CMの支持層では、若年女性からの評価も維持しつつ20代の男性からの票を大きく伸ばすことに成功。「あまり食べたことがないので買ってみたいと思いました」「音楽とキャラクターがとてもシックな画面を演出しつつ、フレーバーの強いインパクトを押してくる。食べてみたい」と冬季の定番商品でありながら、新しいアプローチに挑戦したことで新規ユーザーのトライアル意向を獲得した。

8年間同一のフレームを継続してきたブランドにとって、トーン&マナーの変更は勇気の要る決断だったはずだが、オリジナルソングのピアノ曲をBGMに、CM資産である“メルティーキッス=新垣結衣”というブランドとタレントの強い結びつきを活用しながら、シックなテイストへ進化させたのは見事といえるだろう。

同様に冬季限定のコミュニケーションでは7位のニトリ「Nウォーム」が挙げられる。背広にパジャマのズボン姿で出勤してしまったり、上司が気持ちよくカラオケをしている時に壁にぶつかりスイッチを切ってしまったりと、冷や汗をかく場面にたびたび直面した男性が、吸湿発熱寝具であるNウォームのおかげで温かく眠れるというストーリー。

今年で5年目となるこのフレームは1年間のうち2カ月程度しかオンエアされないが、出稿量に対するCM好感度の獲得効率を年々上げている人気シリーズだ。今作には「毎回面白いストーリーがいい」「毎年ネタが変わっていて面白いと思った」と過去のCMと合わせてポジティブな評価が寄せられ、印象の強さやイメージの蓄積を感じさせた。

自社のCMを磨くことでより人気を獲得

同社は夏季には「Nクール」という接触冷感寝具も展開しており、熱い視線や議論に耐えながら、夜は商品のおかげで涼しく眠れるという姉妹CMシリーズを放送している。こちらも毎年2、3カ月程度の放送期間だがCM好感度は右肩上がりだ。モニターの中には「夏も冬も笑わせていただいております」「夏のNクール、冬のNウォームとCMの雰囲気は変わらないのに、対比させているところが面白い」と双方について記述するモニターもおり、相乗効果がうかがえる。

情報は鮮度が命であり、消費者も新しいニュースに飛びつくものだ。広告においても鮮度管理は重要なテーマで、視聴者が自社のCMに飽きていないか、古くさく見られていないかを適切に見極めることが求められる。このように「メルティーキッス」や「Nウォーム」などのCMは、コミュニケーションの鮮度アップに必要なことは「変える」だけではなく「磨く」ことだと示す好事例だろう。

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