原宿ファストファッション戦争はどこへ行く?《それゆけ!カナモリさん》

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老舗の風格GAP
 ラフォーレ原宿の前にはGAPがある。ファストファッション勢としてはとらえられていないが、H&Mやユニクロが採用しているSPA(製造小売り)という方式を最初に取り入れたのがGAPだ。コレクトポイント以上に店内はゆとりがある。価格は高くないが、品質はファストファッションのバリューラインを超えているように思える。そして何より、店内で初めて店員から声をかけられ、「接客」された。

 衣料品の購入時の接客には賛否両論あるが、ずっとファストファッションの店舗を見て、「品出し」だけに忙しく追われている店員を見ると、接客されるのも悪くないと感じる。ある程度の年齢層より上には、ファストファッション店からGAPに来るとホッとする気分がするのではないだろうか。GAP回帰現象ももうしばらくすると見られるかもしれない。

 今回は、あくまで主観的に原宿ファストファッション戦争といわれる現場を見て、今後を考えてみた。世は栄枯盛衰。かつての花形であった百貨店と高級アパレルブランドの低迷が示すように、大流行のファストファッションもやがては変化の波にさらされていくはずだ。

 その変化をものにするのは、どんなプレーヤーか。メディアの情報をうのみにするのではなく、実際に現場に行って、観察し、肌で感じて、想像をめぐらせてみるのも、大人な原宿の楽しみ方に違いない。

《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2009年10月16日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。
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