「雇用足踏みなら、消費税10%に反対」

イエール大名誉教授・浜田内閣官房参与インタビュー

2月24日、安倍首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は、10%への消費税率引き上げでは、雇用情勢などが足踏みするような状況になれば「断固として反対する」と述べた。都内で昨年3月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 24日 ロイター] -安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は24日、ロイターのインタビューに応じ、4月に迫った消費税率引き上げが日本経済に与える影響は不確実とし、日銀は夏場に公表される指標などを見極めた上で追加金融緩和の是非を迅速に判断すべきと語った。

また、2015年10月に予定されている10%への消費税率引き上げでは、今年4月の増税の影響などで雇用情勢や需給ギャップの改善が足踏みするような状況になれば「断固として反対する」と表明した。

GDP低迷、注意深くなるべきとのサイン

浜田氏は、今年4月に消費税率が現行の5%から8%に引き上げられることによる日本経済への影響について、日銀による異次元緩和政策と政府の経済対策を踏まえて「それほど心配していなかった」としながらも、17日に公表された10─12月期の実質国内総生産(GDP)が事前見通しを下回る年率1%の低成長にとどまったことことで、「注意深くならなければいけないとのサイン。心配している人も多いと思う」と語った。

昨年11月の講演では、消費増税で経済・物価に悪影響が生じた場合の日銀による追加金融緩和に期待感を表明。市場では、増税後をにらんで日銀が早期の追加緩和に踏み切るとの観測もあるが、浜田氏は「Preemptive(予防的)に金融政策を実施することが必要との考え方もある」としながら、「増税が量的にどれだけ悪影響を及ぼすかは不確実」と指摘。追加緩和の是非を判断するタイミングは「データなど実際の経済の動きを見た上で迅速に動けば十分ではないか」と述べ、駆け込み需要の反動減の影響が反映される夏場の経済指標などを見極めて日銀は政策判断すべきとの見解を示した。

もっとも、日銀が掲げる2%の物価安定目標に関連し、「雇用と生産が回復しているかが重要。私はそれほど物価をみているわけではない」と成長と雇用を重視している姿勢をあらためて強調した。

日銀は18日、金融機関による貸出増加と成長分野向け融資の取り組みを支援するため、貸出支援制度の拡充・延長を決定した。これを受けて市場では株高・円安が進行。浜田氏は、減速したGDPの翌日の決定という絶好のタイミングだったと述べるとともに、市場の反応を踏まえて「金融政策の有効性を投資家が信じていることが明らかになった」と評価した。もっとも、追加緩和策を実施する場合は量的な拡大が中心になるとの見方を示し、「国債以外にも買い入れ資産を多様化していくことも重要だ」と語った。

法人税減税は「当然」

2010年10月には消費税率が10%にさらに引き上げられる予定。安倍首相は、2度目の消費増税について今年7─9月の経済情勢を見極めた上で年内にも是非を判断する意向を示している。浜田氏は「財務省はそこ(10%への引き上げ)を死守しようとしているが、やはりちゃんと考えるべきだ」と指摘。4月の消費増税をきっかけに景気の低迷が続くようであれば「止めるできだろう」とし、具体的には有効求人倍率など雇用情勢、需給ギャップの改善が足踏みしてしまうような状況になれば「増税には断固として反対しなければならない」と強調した。こうした指標は日銀が追加緩和を検討する際にも考慮すべきとの考えも示した。

アベノミクスの「第3の矢」である「成長戦略」については、官庁などの抵抗によってさまざまな分野で規制改革が進んでいないと苦言。それでも「安倍首相と菅(義偉)官房長官は、(官僚に対して)強く頑張れる政治家であり、期待している」とし、特に法人実効税率の引き下げは「当然」と主張。減税しなければ「外国人が、日本に投資せずにシンガポールに投資するような事が起こる。日本人だって日本に投資しなくなる」とし、「財務省は税率を下げれば税収が減ると考えているようだが、(法人減税でも)税収が増えることが理想だ」と述べた。

(伊藤純夫 金子かおり 編集:宮崎大)

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