都心優良ビルも競って“値引き” 空室率は峠を越えたが賃料に底打ち感なし《特集・不動産/建設》


 今年に入り、都心での本社ビルの移転や入居を決定する企業などが続出している。「ユニクロ」のファーストリテイリングが東京ミッドタウン、食品のカルビーが丸の内トラストタワー本館、BASFジャパンが六本木ヒルズへと、それぞれ都心の最高クラスビルへ移転した。

これらの移転理由は「分散されていたグループ企業の集約」(BASFジャパン)という面もあるが、都心優良ビルの賃料引き下げの影響が大きいとされる。

都心の優良ビルも大幅値引きで顧客確保

たとえば森トラストが開発した丸の内トラストタワー本館。2008年11月の開業当初は、募集賃料が坪6万~7万円だったが、約半分が埋まらなかった。それでも同社の吉田武副社長は「土地代、建築費は償却済みでもあり、坪6万円で入ってくれるテナントを1年くらいかけてゆっくり集めたい」と話していた。

ところが、「リーマンショックで引き合いがパッタリ止まった」(吉田氏)。そこで年明け以降、「賃料を坪4万円に下げた。そうすると通信や食品会社などで80%程度が埋まった。今は価格調整がキーワードだ」(同)と言う。

一方、4月に山王パークタワーに入居した消費者庁は「賃料が高すぎる」との批判から、同ビルを所有する三菱地所に対して「国民負担額を軽減するための交渉に入る」(井内正敏総務課長)予定だ。賃料引き下げ圧力をかけるのは、公的セクターのテナントも例外ではない。

背景には、オフィス需給の不均衡による空室率の上昇がある。三鬼商事の調査では、東京ビジネス地区(都心5区で千代田、中央、港、新宿、渋谷区を指す)の空室率は07年12月に2・65%のボトムをつけた後、急速に悪化している。09年8月は7月同様、7・57%と横ばいだったが、依然高水準にある。オフィス面積の大量供給から「2003年問題」と言われた03年当時と並ぶ水準になっている。

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