米企業の設備投資計画は上振れ

米国経済の先行きをどう見たらいいのか

2月20日、米企業が今年、手元の潤沢なキャッシュから投資に回すつもりの金額の規模は、投資家を驚かせるほどの大きさになろうとしている。写真はニューヨークで2012年9月撮影(2014年 ロイター/Brendan McDermid)

[ニューヨーク 20日 ロイター] -今月に入って、米電子部品・機器メーカーのイートンが生産機械に過去最大となる7億ドルを投資すると表明したことは、ほとんど関心を寄せられなかった。

だがこれはイートンに限った話ではない。米企業が今年、手元の潤沢なキャッシュから投資に回すつもりの金額の規模は、投資家を驚かせるほどの大きさになろうとしている。

米企業は景気後退期以降ずっと、積極的な投資には及び腰で、その代わりに手元に多額のキャッシュを蓄えるか、配当や自社株買いを通じて株主に還元してきた。それでも、S&Pダウ・ショーンズ指数のデータによるとS&P総合500種採用企業の時価総額に対する保有キャッシュ額の割合はまだ10%近くあるとはいえ、景気回復の初期段階におけるピークの11.5%からは低下した。

レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャルのチーフ投資ストラテジスト、ジェフリー・ソート氏は「多くの企業は景気が落ち込んだ局面でキャッシュ不足に陥ったので、これまでバランスシートに再び積み上げたキャッシュを使うことに消極的だった。(しかし)今は景気が上向いているのを目にして、財布のひもを緩め始めている」と指摘した。

トムソン・ロイターの分析では、これまでに今年の投資計画を発表したS&P企業227社の70%は、投資予定額がアナリストの予想を上回った。これは少なくとも最近5年では最も高い割合で、経営者が先行きの経済成長に対する自身を高めていることがうかがえる。

1社当たり投資予定額の平均は、トムソン・ロイターのデータによると約17億1000万ドルで、昨年の16億8000万ドルからたった2%しか増えていない。ただ、アナリストの予想平均は前年比約4%減となっていた。

企業の楽観的な見方が増大した背景には、米国の予算をめぐる懸念の後退や、ユーロ圏の見通し改善、需要増加に対応するための生産能力確保の必要性などがある、というのがストラテジストの見方だ。

米連邦準備理事会(FRB)の統計では、企業の設備稼働率は78.5%程度と景気後退以降では最高水準に近く、過去最低の70%割れだった2009年6月からは大きく持ち直している。

アメリプライズ・ファイナンシャル・サービシズのシニアエコノミスト、ラッセル・プライス氏は「われわれは(稼働率で)80%に迫りつつあり、これは通常は企業が設備を多少拡大しなければならないと感じる水準だ」と述べた。

イートンの場合、今年の設備投資計画は14%増でかなり積極的に思われるが、同社によると引き続き売上高の3%程度という予算枠に沿ったもので、つまりは突然投資を増やしたくなったのではなく、売上高の改善に連動した結果だといえる。

このほかに今年、大幅な設備投資を目指している企業としては、航空機エンジン・機械大手ユナイテッド・テクノロジーズ(約18%増の20億ドル)、鉱業のフリーポート・マクモラン(32%増の70億ドル)、鉄道輸送のユニオン・パシフィック(約12%増の39億ドル)などが挙げられる。

投資のすそ野に広がり

S&P総合500種は昨年30%上昇。アナリストは、設備投資の増加は需要が増え、経済がよりしっかりしてくることを意味するとの理由から、今年の株価はさらに上がる可能性があるとみている。

この数年間を振り返ると、設備投資は緩やかながらも着実に増加してきている。S&Pの推計では、昨年第4・四半期の設備投資総額は1630億9000万ドルと前期を10%上回り、2012年第4・四半期の1562億8000万ドルという過去最高記録を塗り替えた。

近年の設備投資はエネルギーセクターが大きな割合を占めている。ゴールドマン・サックスによると12年のS&P総合500種企業の設備・研究開発投資全体の中で、エネルギーセクターが25%となった。

ホッジス・キャピタル・マネジメントの調査ディレクター、エリック・マーシャル氏は「エネルギーは恐らくこれまで、企業設備の展開という点で際立った存在だった。しかし投資の動きはより幅広い分野に広がっている姿が見え始めている」と語った。

(Caroline Valetkevitch記者)

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