スカイライナー大増発、「夜の成田」不便は解消? 空港開港時間延長に合わせダイヤ改正

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ダイヤ改正で、スカイライナーは成田空港駅22時30分発の後にもう1本増発され、最終は23時20分発(空港第2・第3ビル駅発は23時23分)となった。この列車は日暮里駅に23時59分に到着する。ここから各線に乗り継ぐことで、かなり広範囲の駅まで最終列車で到達することが可能だ。

成田国際空港会社が発表したデータによると、各線に乗り継げば東武スカイツリーラインの北春日部、つくばエクスプレスの守谷、常磐線の取手、京浜東北線の大宮・磯子、東武東上線の川越市、西武線の新所沢・小手指、中央線の高尾、京王線の京王八王子、小田急線の相模大野、東急線の鷺沼・元住吉・奥沢・雪が谷大塚までは電車で行くことが可能となる。

遅い時間のLCCも利用しやすく

深夜のアクセスが充実することは、特に21時以降に到着する便が利用しやすくなることを意味する。成田空港発着便(特にLCC)は、羽田空港発着便以上に遅延するリスクがあり、現状では、到着が遅くなるとタクシー利用や宿泊せざるをえなくなる。LCCを利用しても結果的に割高になってしまうこともあるのだ。

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だが、スカイライナーの終電繰り下げによって、遅い時間でも帰宅できる範囲が広がる。22時前後に到着する便も選びやすくなり、LCC側にとってもメリットは大きいだろう。

また、高速バスにおいても、新たに24時発の東京空港交通(リムジンバス)のT-CAT(東京シティエアターミナル)・新宿駅・池袋駅行き、24時45発のビィー・トランセグループ「アクセス成田」の東京駅・銀座駅行きが新設される。都心までであれば、スカイライナーの最終列車よりさらに遅い時間でも移動可能となる。

今回のダイヤ改正は、日本人はもちろんのこと、訪日外国人にとっても大きなメリットがある。成田空港到着後、時間帯を問わずスムーズに都心に向かえるようになり、移動におけるストレスが減ることになる。空港アクセスの利便性向上は空港自体の価値を高めることにつながるが、成田空港のアクセス交通もようやく世界の国際空港と肩を並べるレベルになりそうだ。

鳥海 高太朗 航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

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とりうみ こうたろう / Kotaro Toriumi

1978年千葉県生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。食品会社、コンサルタント、城西国際大学観光学部助手を経て現職。専門は航空会社のマーケティング戦略。利用者・専門家の双方の視点から各社メディアを通じて情報発信をしている。

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