女前起業家、フィリピンでの愛と野望に燃える

無理だって誰が決めたの? やって証明します!

 「女前(オンナマエ)」が日本を変える──。この特集では、男も女も支持して、本人も充足しているキャリア女性を「女前」と定義。そんな女性を5日連続で紹介しながら、「女前」の条件を考察していく。4日目は、ワクワーク・イングリッシュ代表の山田貴子さんに、フィリピンの貧困層を支援する事業を立ち上げた動機とプロセスをうかがう。
※1日目の「女前」、宝島社の箕浦ちさ子さんはこちら
※2日目の「女前」、資生堂の川上登美子さんはこちら
※3日目の「女前」、テレビ朝日の松尾由美子さんはこちら 

根拠なき自信はつねにある

山田貴子さん ワクワーク・イングリッシュ代表
 
1985年、神奈川県生まれ。2008年、慶応義塾大学環境情報学部卒業。2009年、同大学院政策・メディア研究科修士課程在学中に、ワクワーク・イングリッシュを設立。フィリピンの貧困層の若者と一緒に、生まれた環境に関係なく、誰もが夢と自立を実現できる社会を目指して、さまざまな事業を立ち上げる。日本では軽井沢に拠点を置き、地域活性活動に取り組む。慶応義塾大学の非常勤講師、「湯河原子どもフォーラム」の講師も務める。2012年、世界経済フォーラム・ダボス会議の、20代30代のリーダーGlobal Shapersに選出。2013年、第1回日経ソーシャルイニシアチブ大賞の国際部門でファイナリスト選出。

 「子どもの頃から、可能性を閉ざそうとされればされるほど燃える。『それ無理でしょ?』と、よく言われるのですが、『いやいや、無理だって誰が決めたの? やって証明しましょう』と。『やれる根拠を出してください』って言われても、『いや、それは今からやって示しますから』と。私、根拠なき自信はつねにあるんですよ!」

「ワクワーク・イングリッシュ」のホームページ

冬だというのに、いい色に日焼けしている山田貴子さんは、エネルギッシュにこう語る。

2009年、大学院1年生のときにフィリピンの貧困層の若者がスカイプで英語を日本人に教えるビジネスを立ち上げた。会社名は、ワクワーク・イングリッシュ。「創業した9月9日は、ワ・ク・ワ・ク(0909)の記念日なんです」。

今でこそ、講師がフィリピン人のオンライン英会話はたくさんあるが、当時はまだ数社しかなかった。このビジネスモデルを友人たちに話すと、「フィリピン人に英語を習うなんて、ないでしょ」「まともな英語なの?」と反応は芳しくなかったという。

だが、可能性を閉ざされると火がつく山田さん。「フィリピン人の持っている最大の資源は英語。セブ島には、世界各国のIT関連企業がコールセンターを設置している。それがフィリピン人の英語が問題ない証拠」と考え、起業に向けて走り出した。

「問題」ではなく、「チャレンジ」

資金はまったくなかったので、親に「200万円貸してください」と頼み込んだ。すると、目標と期限を言い渡された。

「ボランティアでなく、ビジネスとして持続可能なものをやるなら、あなた自身が自立していないといけない。大学院を卒業するときに、大学院卒の初任給と同じだけ稼げるようになっているのなら、貸してあげます」

山田さんは根拠なき自信で「はい、わかりました」と答え、200万円を持ってフィリピンに行った。最初は会計の知識も何もなかった。

「オフィスを借りて、登記をして、パソコン5台買って、スタッフを5人雇いました。ヤバい、おカネがなくなった!と。どうしようと思いつつも何とかなるだろうって。振り返ると、大変なときはたくさんありましたが、それを全部『問題』じゃなく、『チャレンジ』と言い換えて、どうやって解決するかを考えてきました。もともと体育会系気質なので、スムーズにいくよりそのほうが面白いんです」

このガッツは一見、「男前」。だが、その根源には、あふれんばかりの愛と育成力がある「女前」だ。山田さんのこれまでの人生をたどろう。

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