セパージュ時代の到来(1)前夜:パリの試飲会《ワイン片手に経営論》第15回

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 スタッグス・リープのオーナーは、第14回のコラムでもご紹介したワレン・ウィニアルスキー。このワイナリーにアドバイスしていたのが、アンドレー・チェリチェフ。ウィニアルスキーは、カリフォルニア大学ディヴィス校の醸造学科で、ワイン造りを専門的に勉強した人でした。

 チェリチェフは、ロシア人でアメリカのワイナリーに請われてやってきた人間でした。ロバート・モンダヴィが、第二次世界大戦直後にチャールズ・クリュッグ・ワイナリーでワイン造りを始めたころに、アドバイスを求めた相手としても有名な方です。彼は、いわばセパージュ主義的思想の持ち主で、品種の違いに極めてうるさかったといいます。

■「パリの試飲会」におけるワインの評価方法

 この時の採点方法は、それぞれの審査員が20点満点で評価するというものでした。スパリュア氏は、審査員に、「ワインを目、鼻、口、バランスの四つの観点で評価し、20点満点で採点してワインに順位をつけてほしい」と伝えています。スパリュア氏は、それぞれの審査員の点数を加算し、最終順位を決めるというアプローチをとりました。これは、当時のフランスでは標準的な評価方法で、どの審査員も異論を唱えなかったようです。

 ちなみに、「目」の観点とは、ワインの外観のことです。ワインの清澄度や色の具合でその健全性を確認します。「鼻」とは香りのこと。一般的にブドウ由来の第一アロマ、発酵由来の第二アロマ、熟成由来の第三アロマといったさまざまな香りとその強さを確認します。「口」は、味わいのことで、果実味、酸味、苦味、タンニン、アルコール度などが確認ポイントです。そして、最後の「バランス」ですが、個別に「目」「鼻」「口」で捉えたことを全体的な印象で総合評価します。

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