広がる食品値下げの舞台裏、利益無き消耗戦に突入か


 食品値下げの動きが広がっている。2月下旬、イオンがPB(プライベートブランド)商品の値下げを発表。これに続いて、西友でも加工食品などNB(メーカーブランド)約550品目の値下げを打ち出した。

イオンは今回の値下げについて「原材料相場の下落や円高、スケールメリットを生かした」とする。NB商品も「品目数を絞って、一アイテムを大量に仕入れることでメーカーから安く調達する」。この考え方は西友も同じだ。中堅スーパー関係者が「回転率の悪い商品は売り場から外して、売れる商品をより多く仕入れる」と話すように、食品メーカーにとって、「棚」確保のせめぎ合いがいっそう熾烈になりそうだ。

巧拙問われる値下げ

「昨年の値上げで縮小した売り場を取り戻し、工場稼働率を上げないと」(加工食品メーカー)。売り上げの減少に加えて、原料価格が急速に落ち着いたことで、販売戦略の見直しに頭を痛めている。すでに一部食品メーカーでは価格見直しの動きがある。2月上旬にカレールウ「ゴールデンカレー」を刷新したエスビー食品は、ルウの容量を1皿分減らし、希望小売価格を315円から285円に引き下げた。「1箱300円を超えると消費が鈍った」という。キユーピーもドレッシングの容量を15%減らし値頃感を訴求している。

また、パン業界で最大手の山崎製パンは、単純値下げに踏み切った。4月から政府の小麦売り渡し価格が15%弱引き下げられることを受け、2月から同社の売れ筋である「ランチパック」を増量し、同時に値下げした。また、食パンの値下げも検討しており「最大手が動けば追従せざるをえない」と下位メーカーは戦々恐々としている。

一方、「いつまた原料価格が上昇するかわからない」と、高付加価値品の拡充を図るなどして、本格値下げとは距離を置くメーカーも多い。ある中堅ハムメーカーは主力ブランド品の価格は据え置き、ノンブランド品で増量品を投入し様子を見ている。「低価格品を投入したものの、PBと同じ価格帯のため、定番品として扱ってもらえない」(即席麺メーカー)という声も聞かれる。売り場確保は一筋縄ではいかない。

食品値下げの動きに、大手食品卸の幹部はあきれ顔でこう話す。「自動車は必死で減産して在庫調整しているのに、食品メーカーは稼働率維持のため安売りする。“胃袋”は限られているのだから、値下げでどれだけ効果があるのか」。

ともすれば利益なき消耗戦。だが、深刻な消費低迷にあって、試行錯誤の値下げはやみそうにない。

(佐藤未来、鈴木良英 =週刊東洋経済)

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