レッドブル「空のF1」エアレース突如終了の背景 日本人の室屋義秀選手は有終の美を飾るも…

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後日、室屋に操縦技術世界一という目標を達成できたのか尋ねた。

「いつまで経っても、そのレベルには到達しないんじゃないですかね。2017年に世界王者となっても、『もうちょっと、こうしたらいい』と思ったし、2年後の今では当時にはなかった新しい技術がありますからね。(操縦技術世界一は)優勝したから達成したとかいうものではなくて、自分の中にある『道の追求』なので、終わることはない」と考えているのだ。

室屋は柔道で五輪3連覇を果たした野村忠宏氏(44歳)と対談をしたときに、「柔道では『引退をしてから段が上がる』ということで、技術的なものではなくて精神的なものを含めて認定される」ことを知った。柔道のような『道の極め方』を模索しているともいう。「飛ばなくても求める技術はいっぱいあるんだろう」と考えるようになった室屋は、これからも操縦技術世界一を追い求めていくことになる。

子どもたちに飛行機の素晴らしさを伝える活動を

室屋がパイロットとして戦う姿を再び見たいファンもいる。だが、当の本人は、「レースに出ることだけがすべてではないですからね。航空スポーツにはいろいろあるので、この世界で操縦技術を追い求めることは変わらないと思います。これから、何にチャレンジしていくかを考えていくところですね。次の会見では発表したいですね」とも言う。

今後も全国各地でエアーショーを継続し、5月から開講した航空教室「空ラボ」で、子どもたちに飛行機の素晴らしさを伝えていく予定だという。

室屋義秀の空の“旅”は、まだまだ続く。

(文中敬称略)

佐久間 秀実 スポーツライター

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さくま ひでみ / Hidemi Sakuma

1976年生まれ。楽しさ・喜び・感動を伝えたい‼︎トップアスリートや著名人に単独インタビュー。国や企業についても執筆。趣味はランニング、サッカー、卓球等のスポーツ。浦和レッズユース第1期生。琵琶湖を徒歩1周(3日)。プロフィール写真は、龍馬の生まれたまち記念館(高知県)で撮影。

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