東大の推薦入試は東大らしくない 2年後でもボクは東大を選ばない

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あまりに中途半端で残念

何が言いたいかというと、あまりに中途半端なのです。東大は、慶応や早稲田、ひいては京大とも一線を画した、日本最高の頭脳が集結する大学であることに間違いはありません。だからこそ、問題点も多い推薦入試をこれまでは安易に取り入れてこなかったのに、最近の留学生減少・実績低下などの問題が起こってきてから、突然、方針を変えて、ほかの私大と大して変わらない(というか一部が改悪されている)システムを導入してしまったのは、ちょっと残念だなぁというのが正直な気持ちです。

少なくとも、定員を設定する必要はなかったと思います。定員を設定せずに優秀な人間を受け入れることにすれば、東大としてもリスクを気にする必要はなく、気が楽だったはずです。そもそも1年に100人もそのような人材がいるかどうかもわかりませんし、東大は一般入試の入学者が中心であることは変わりないのだから、推薦が50人であろうと100人であろうと大差はないはずなのです。

「キャンパスツアー入試」を提案

さらに、センター試験をやるという意地っ張りもしないほうがよかった気がします。書類審査を経て、11月ごろにイギリス式の長い面接をすればよかったのではないでしょうか。わざわざテストをしなくても、事前に希望する専門分野を聞いておいたうえで丸一日、その分野の教員と過ごさせれば、その受験生が基礎学力において問題がないかどうかもわかるはずです。

たとえば、赤門前で集合して、雑談しながらキャンパスを案内。昼食は食堂で食べて、午後はその教員の研究を紹介しつつディスカッション。夜は近辺のご飯屋さんで食べながら議論。これぐらいゆるく、でも深くやれば問題ないのではないかなーと思うのです。名付けて「キャンパスツアー入試」。

人材がまだ足りていて、日本でトップである東大だからこそできる入試方式ですね。東大には、ほかの大学にはマネできないようなレベルでいてほしいものです。

今回の東京大学の推薦入試は、単なる「2次試験免除」以外の何ものでもないように思います。はたしてこれで満足のいくレベルの新入生を迎えられるかどうか……。まずは2年後を楽しみにしたいなと思います。

まあ、ボクが2年後に受験生だったとしても、たぶんこんな推薦もどきは受けませんが。

Tehu 慶応義塾大学1年生・デジタルクリエーター

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てふ / Tehu

1995年、神戸市生まれ。灘中学校、灘高校を経て現在、慶応義塾大学1年生。中学生の時にプログラミングに興味を持ち、2009年にiPhoneアプリ「健康計算機」を公開。ダウンロード数が無料アプリで世界第3位となり、話題となる。以後、「放射能計算機」、劇団ひとり監修の「僕の余生。」などのアプリ制作を続ける。2010年からUstreamで「Tehuのオールナイトニホン」を放送開始。米アップルの新製品記者発表を同時通訳する番組を定期的に放送し、人気を集める。2013年、グーグル日本法人元会長の村上憲郎氏との共著『スーパーIT高校生“Tehu”と考える 創造力のつくり方』(角川書店)を発売。現在、クリエーターとして多くの企業のプロジェクトに参加するほか、講演や雑誌連載など多岐にわたって活動している。中国籍で本名は張 惺(ちょう・さとる)。日本語、英語、中国語を操る。

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