(第18回)「四字熟語・故事ことわざ」で綴る就職支援・第五話『原点回帰』

(第18回)「四字熟語・故事ことわざ」で綴る就職支援・第五話『原点回帰』

菊地信一

走りすぎている人は一度立ち止まろう
そして「自分軸」を再確認しよう!

 二月に入り、各企業の採用活動はますますヒートアップしている。不況の影響を感じさせない動きといってよい。中堅・中小企業の一部では、早々と「内々定」を学生に伝えたところもあるようだ。もっとも、いわゆる大手企業群は「日本経団連の倫理憲章」に同意しているため、内定出しを4月1日以降に設定した採用活動の真最中であるが…。

 こうした企業の動きに対して、肝心の学生の就職活動状況はどうなっているだろうか。就職戦線前倒しによる影響で、企業へのエントリーシート社数は前年に比べて増えている。同時に、雇用情勢の悪化という情報を敏感にキャッチし、企業セミナー・会社説明会への参加も多くなっている。「持ち駒を増やしたい」との切なる思いを感じるのは私だけではないだろう。だが、この早い就職活動に潜んでいる影に一抹の不安を感じることも事実だ。
 というのも、各就職セミナーで出会う学生の発言に戸惑うことが多いからだ。しかも、こうした発言(質問)には奇妙な一致点がある。「異口同音」といった類だ。言い換えれば偏差値絶対信奉世代の学生の特徴といってもよいだろうか。以下に三点ほど指摘する。
(1)正解は一つしかないと思い込む。
就職活動にあてはめると、エントリーシートや面接において、必ず正解は一つ存在すると盲信している姿だ。
(2)その正解を誰かが教えてくれる。
説明会・セミナーなどでの質問は圧倒的にこれが多い。「エントリーシートでは、どのように書けば有利になりますか?」、「面接では再質問をすると不利になると聞いたのですが、これは正しいでしょうか?」、「説明会で、これは絶対評価にされるという質問はありますか。有利になると思うので教えてください」等々。結論から言おう。正解は“星の数ほどある”と。正確に言えば、企業が百社あれば百の正解が存在するかもしれないのだ。“似た答え”はあるだろうが。
(3)正解は多数の人が述べた(考えた)方にある。
少数派は分が悪いとの思考法だ。だが世間では、少数意見に真実が隠されている例は数多い。安心感に浸りたいとの発想になるのだろうか。
 そして、極めつけは、必要以上に他者の眼を気にする傾向といってよい。「給料について話を聞くと、自分に対する印象が悪くなりそうなので聞けない」といった態度だ。
 いかがだろうか。みなさんに当てはまることが多いはずだ。しかしながら、これらの欠点を克服していかないことには、“あなたにとってのベストな選択”ができる訳がない。しかも、就職でもっとも大切なことは「入社後の満足度」といってよいだろう。せっかく入社した企業と、ありとあらゆる部分でミスマッチが生じたらどうするのか?思い通りにならないといって、その都度会社を退職していたら、いくら会社があっても足りない。

 エントリー社数の多さや説明会の出席回数の多さなどは就職活動の基礎としかならない。いわゆる“フレームワーク”だ。大切なことは企業での働き方の中身をチェックすること。そして、自分がその企業で働くことを想像して、違和感がないかどうかをチェックしてもらいたい。そのためにも、まずは自分自身の就職観=働くにあたって絶対ゆずれない“こだわり”を整理しておく必要がある。「自分軸」を持つ大切さを再確認しよう。就職は自分自身のためにあるもので、他者のために存在するものではない。けっして“他者軸”で活動を進めない覚悟を持とう。『大事は小事より起こる』のだから…。
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