「フェリス女子」は、お嬢様学校ではない! フェリス女学院、田部井善郎校長に聞く

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フェリスに根付く「開拓者精神」

――プロテスタントの学校としても有名ですね。

カリキュラムを大学のように選択していくという仕組みは珍しい

フェリスは1870年にプロテスタントの学校として創立されました。当時は日本には女性のみの中等教育機関はありませんでした。まだまだ「女性が教育を受ける」という意識自体が希薄な時代でした。ですから、女性教育の先駆者としての自覚はありますね。開拓者スピリットといったら大げさでしょうけど、「自分たちで切り開くのだ」という精神がフェリスのDNAでしょうか。そのためうちのOGはバイタリティがあります。学校の卒業生というとスポーツ選手や芸能人などが注目されますが、フェリスのOGは社会の中で活躍できる女性が多いと感じています。

ライフイベントで人生が左右されることすら「楽しむ!」

女性の社会進出が進んできたとはいえ、まだまだ女性は結婚、出産などのライフイベントの影響力が強い。ですが、それでもそうしたライフイベントに人生が左右されることすらも楽しんでしまうほど、バイタリティがあります。たとえば子供の仕事でアフリカを訪ねたひとりのOGは、そこでコーヒーのフェアトレードの会社を作り始めて、アフリカでの学校づくりのためにバリバリ頑張っています。しかも60代になってからです。

ほかにも数学を専攻しながらジャズピアニストとして活躍しているOGや、医学部に進みながらクラシックのピアニストとしても働いていたり――。私からみても「すごいバイタリティだなぁ」と思わされるような卒業生が多くいます。

学校の財産はこうした卒業生たちです。充実したカリキュラムでも、設備でもなければ進学率などでもありません。意識の高いフェリスOGたちが社会に出て、FOR OTHERSの考え方を広めてくれることが、この学校にとって何よりの財産です。

――逆にフェリス生の課題はどのようなところにあると思いますか?

気の合う仲間と6年間過ごしていると、なんでもズバッと言い合えてしまいます。「そこまではっきり言わなくても……」と思うこともあります。そのため、社会に出て、建前とかオブラートに包んで発言することが要求される会社組織では、最初は戸惑うかもしれません。ですが、それでもいいのではないでしょうか? 思春期の頃から他人の顔色をうかがってしまうことで失うもののほうが、はるかに大きいと思います。

――ありがとうございました。

どうですか? お嬢様というイメージ、変わりましたか?

(撮影:今井 康一)

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