どうなる寝台特急!?カギを握るJR北海道 実は収入源になっている寝台特急

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3月のダイヤ改正で寝台特急「あけぼの」(上野―青森間)の定期運行が終了する。北へ向かう寝台列車は、「北斗星」「カシオペア」(上野―札幌間)、「トワイライトエクスプレス」(大阪―札幌間)、「はまなす」(青森―札幌間)があるが、その去就が注目されている。

「北斗星」と「トワイライトエクスプレス」は高い人気を誇っているものの、客車の老朽化が指摘されている。車両更新の時期が迫る中、車両を保有するJR東日本やJR西日本は、2016年春の北海道新幹線開業を機に、運転を取りやめるのではないかとの観測も出ている。一方で、営業開始が1999年と、比較的車歴の浅い「カシオペア」は存続するのではないかという見方もある。存廃決定の主導権を持つのがJR東日本やJR西日本なのは間違いないが、北海道側の運行を担当するJR北海道はどう考えているのか。

北へ向かう寝台列車は、深夜に青函トンネルを含む青函共用区間(奥津軽〈仮称〉―木古内間)を通過する。2016年春の北海道新幹線開業後は、この区間はJR北海道の管轄となる。

青函共用区間は在来線と新幹線の双方が走行することを想定している。東海道や山陽など現在の新幹線は、レールなどの保守作業を行う時間として深夜0時から朝6時まで運行していない。このルールを青函共用区間に当てはめると、寝台列車も0時から朝6時までは通過できないことになる。

一方で、現在、深夜の時間帯にはJR貨物の貨物列車が青函共用区間を頻繁に走行している。北海道の農作物を消費地に運ぶためには、貨物列車の役割は不可欠なのだ。

0~6時の間は青函共用区間を走れないということになると、JR貨物の試算によれば、北海道から出発した貨物列車が東京や大阪などの都市に到着するのが2~10時間遅れるという。これはJR貨物にとって打撃となるのはもちろんのこと、新鮮な農作物を届けられなくなるという点では、北海道経済にとっても容認しがたい。

そのため、保守時間を4時間程度に短縮して、深夜の貨物列車走行の時間を確保するという案が、国土交通省で検討されている。「青函共用区間を高速走行する新幹線は1日1本だけ。だったら新幹線基準を守る必要はない」(北海道財界)という声もある。

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