バラが食べられる?花業界で起きる「大変革」 サブスクからSNSまで、異業種から相次ぐ参入

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25歳から50歳までの人口4300万人のうち、園芸経験があるのはその3分の1、1500万人とされる。ネットやスマホが登場し、趣味が多様化している。

西田は「園芸に結び付きにくくなった。”園芸予備軍”が少なくなっている。彼らをうまくつかめないと、業界がシュリンクしていくのは間違いない。こういう人たちにどうやって園芸体験をしてもらうか。当社のアプリはその入り口の1つになる」と話す。

Green Snapにはさまざまな利用方法がありうる。今後の展開として、生活スタイルと植物を組み合わせた提案や投稿データを生かした新たな販売提案などを構想している。

「今後は欧州文化にある『食べられる花』や『シンボルツリー』(家庭の木)のような提案も面白い」と西田はいう。

「花卉の生産者は消費者が花をどのように楽しんでいるか、意外と把握していない。当社のデータを使えば、消費者が花をどのように楽しんでいて、次にどんなものを買おうとしているのかがわかるかもしれない。トレンドを生み出す側に回ることができれば、花の需要も変わるかもしれない」と期待する。

縮小する国内の花卉市場

3人のような異業種からの参入組が登場するのは好ましいことだが、花卉業界の置かれた環境は厳しい。

総務省の統計によると、家計の切り花の消費額は、1997年につけた直近ピーク時から3割強、購入額が減少している。まさに消費者の「花離れ」が進行中だ。

しかし、3人に共通するのは、「やり方次第では、花卉業界はまだまだ成長できる」という強い思いだ。

サブスクリプションからSNSまで。やり方こそ三者三様だが、花卉業界の復活は彼ら彼女らの活躍にかかっている。=文中敬称略

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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