グローバル・マインド 超一流の思考原理 日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか 藤井清孝 著 ~骨太な生き方と構想力の鍛錬で危機を打破する

グローバル・マインド 超一流の思考原理 日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか 藤井清孝 著 ~骨太な生き方と構想力の鍛錬で危機を打破する

評者 YSコンサルティング代表 黒田康史

 本書は、プロの仕事、国際的に活躍できる仕事を追い求めてきた著者が、自伝という形を取りながら、実体験をもとに世界で通用する人材についての考えをまとめたものだ。

まず感心させられるのは、常に新たな挑戦を続けているにもかかわらず、彼のキャリアの軸がぶれていない点だ。一見、人も羨むピカピカのキャリアにもかかわらず、エリート意識はなく、長年働いた投資銀行の価値観への違和感や批判、ケイデンスでの初めての社長業の苦労、ルイ・ヴィトンの経営の挫折等、素直な語り口で書かれているのも好感が持てる。

日本自体の低成長、他のアジア地域の台頭による日本の地位低下への著者の危機感は強い。これもグローバルに通用する日本人が少ないことが大きな原因と彼は考える。そして世界で一流人材とされるのは、「己を知る骨太な生き方」と「グローバルに通用する思考力」だという。「骨太な生き方」には、「自分の人生の舵取りは自分で行い」、「リスクを厭わず自分の限界に挑戦し」、正解のない世界では自ら問題を定義し、「自分の個別解を発見する」ことが大切と強調する。これは彼の生き方そのものであり説得力がある。またグローバルに通用するには、単に論理的思考力だけでなく説得力、それも英語での発信が大切と説く。

そんな彼も日本の将来には楽観的だ。他国が何より苦手とする「現場力」の強い日本が「構想力」を鍛えれば、大いなるチャンスになると考えている。本書から多くのことを学べるが、中でも新しいことを素早く学ぶための四つのフレームワークは役立つ。著者は、最近環境ベンチャーという新分野でまた新たな挑戦を始めた。そこでの活躍を通じて新たな一書を書き下ろすことになるのかもしれない。

ふじい・きよたか
ベタープレイス・ジャパン社長。1957年神戸市生まれ。東大法学部卒、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。ハーバード大MBA。ファースト・ボストン、ケイデンス・デザイン・システムズ日本法人、SAPジャパン、ルイ・ヴィトン・ジャパンなどを経る。

ダイヤモンド社 1680円 271ページ

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