進退両難に陥る不動産ファンド、迫り来るリファイナンス 

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ノンリコースローン デフォルトの可能性

ダヴィンチは昨年12月までのファンドのリファイナンスは計画どおりに進んだという。だがこの先、“ある可能性”を否定しない。「今後、(物件)評価額がローンアマウント(融資額)を超さない場合が出てくるかもしれない。その場合は“デフォルト”しかない、と考えている。準備段階でネゴしているだけだが、レンダーから『モメるよりもカギを渡してもらったほうがいい』と言われている」という。国内ではノンリコースローンの大型デフォルトが生じたケースはない。仮にそうなっても責任はファンドに限定され、ダヴィンチ本体への直接的な影響はない。ただ、自社のファンド運営だけでなく業界へのインパクトも甚大だろう。

同社の主力ファンドは、取得価格が約2000億円の「パシフィック・センチュリー・プレイス」(オフィス部分)や1430億円の「芝パークビル」など大型物件を保有し、このリファイナンスが業界注目の的。金子社長は「どこまでのリファイナンスが可能かレンダーと話し合っている。全額に達しない場合には追加の出資や物件の一部売却の可能性、ジョイントベンチャーなどのシナリオもある」とする。

業界を見渡せば、今年1月にはクリードが破綻。社債償還に苦慮してきたアセット・マネジャーズ・ホールディングス、中国企業への第三者割当増資に不透明感が漂うパシフィックホールディングスなど、ダヴィンチ、ケネディクス以上の苦境と思われるファンド運営企業も少なくない。苦戦の理由の一つは、いずれもリファイナンスである。

各社とも、取得や売却を抑え、「ただ嵐が去るのを待つ」(関係者)構えだ。しかし、目下、流動性が回復する兆候は皆無であり、苦境からの脱出口はまったく見えない。

 

(石川正樹、山田徹也 撮影:吉野純治=金融ビジネス)

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