トヨタ最高益更新、その先は? 今期は自動車メーカーで初の1000万台超え

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リーマンショック前の08年3月期と比べるとトヨタの体質強化の進展はより鮮明になる。

営業利益で2兆2703億円を稼いだ08年3月期の為替レートは1ドル=114円、1ユーロ=162円だった。「為替の(水準の差によるマイナス)影響は1兆円くらい。当時よりもクルマの小型化も進んでいる中で、営業努力、原価改善努力、固定費を下げる努力が現れている」と佐々木卓夫常務役員は胸を張る。

トヨタは11年3月、1ドル=85円、販売台数750万台でも営業利益1兆円を確保できる体制を作るというグローバルビジョンを掲げたが、「その線上に乗っている」(佐々木常務)。 「為替ばかりが強調されるが、体幹を鍛えて筋肉質の身体になったことも評価してほしい」(トヨタ幹部)。

強くなったトヨタの最大の敵は?

リーマンショック前よりも強くなったトヨタ。そんなトヨタを悩ますのは周囲の高い期待かもしれない。

今回の上方修正、最高益更新ともサプライズはなかった。アナリストのコンセンサス(QUICK、1月31日時点)の営業利益予想は2兆4871億円と織り込み済み。第3四半期発表時の上方修正が既定路線となる中で、株価の下げも加速している。米国の金融政策の転換と新興国の景況感悪化などで株式相場全体が落ち込んでいるという面はあるにせよ、バリュエーションは下がっている。

トヨタの株価が冴えない理由は、今後の成長シナリオが見えてこないこともある。

暦年(1-12月)ベースで13年のトヨタグループのグローバル販売台数は998万台。同じく14年は4%増の1032万台を計画する。国内は消費増税の反動減で5%減となるが、海外が6%伸びる想定だ。14年度の計画はまだ不明だが、国内は消費増税前の駆け込み需要を取り込めない分、年度では暦年ベースよりもさらに落ち込む可能性が高い。いずれにせよ台数増は30万台程度だ。台数増や原価改善は今期並みとしても一定程度の諸経費増加もある。円安効果一服を前提とすれば利益の伸び率は1ケタに落ちるのだ。

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