星稜を「甲子園強豪校」に変えた2つの気づき 優勝という目標だけでは勝ち上がれない

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石川県代表として24年ぶりに甲子園決勝に進出した星稜高校。甲子園屈指の強豪校になった裏にあるメンタルトレーニングとは(写真:日刊スポーツ)

第101回全国高等学校野球選手権大会で石川県勢24年ぶりに決勝進出した星稜高校。今では強豪と呼ばれる野球部だが、技術面だけでなく、メンタル面でも力を入れてきたことが、大活躍の一因となっている。

星稜高校のメンタルコーチであり、平昌五輪女子スピードスケート金メダリスト髙木菜那選手をはじめ、数多くのトップアスリート、一流経営者などの指導を行ってきたのが、飯山晄朗氏だ。『勝者のゴールデンメンタル あらゆる仕事に効く「心を強くする」技法』の著者でもある同氏が、「心を強くする」メソッドを紹介する。

目標だけでなく、「目的」の存在が重要

甲子園で大活躍した星稜高校野球部の選手たち。決勝戦では惜しくも履正社高校に敗れましたが、24年ぶりの決勝進出という快挙を成し遂げました。奥川選手の活躍はもちろん目を見張るものがありますが、今回の大活躍は全員で「甲子園優勝」という目標に向かって、心を1つに集中し、普段の練習に挑めたことが大きかったのだと思います。

ここで大事なのは、「甲子園優勝」という目標に加えて、「なぜ、甲子園で優勝したいのか?」という「目的」の存在です。

この目的が「個人的に甲子園優勝という箔が欲しいから」だけだと高い期待は持てません。自分のために、自分の喜びだけを考えて目標を実現しようとしても、あることが起きて実現性は低くなってしまいます。

それは、「逆境や壁にぶつかると、自己防衛本能が働いて諦めてしまう」ということです。逆境や壁にぶつかると、「こんなはずじゃない」「これは何かの間違いだ」と拒絶する。そうすると「やっぱり無理だ」「自分にはできない」とそのことから逃避しようとします。そして脳は諦めることを覚えこんでいき、「まぁいいか」「仕方ないね」と燃え尽きやすい脳ができてしまいます。

そしてもう1つ。実現しても「満足して燃え尽きてしまう」ということがあります。目標を達成して「やったー!」「できた!」と喜ぶことはいいのですが、「これで大丈夫だ」「ここまででいいだろう」と脳が満足してしまうとそれ以上努力すること、行動しようとする意欲が失われてしまいます。高校野球でも全国大会出場を決めた瞬間に喜びすぎて満足してしまうと、全国大会で勝てないという状態になるのです。

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