1943年晩秋 最後の早慶戦 早稲田大学大学史資料センター・慶應義塾福澤研究センター共編

1943年晩秋 最後の早慶戦 早稲田大学大学史資料センター・慶應義塾福澤研究センター共編

映画化され話題を集めた「最後の早慶戦」が、新たな資料や聞き取りを交え書き下ろされた。日米開戦から2年、文部省や軍部に白眼視され試合さえままならぬ中、野球に情熱を注ぎ続けた両校関係者たちが主人公だ。宿命のライバル早慶がようやく開催にこぎつけた対戦は、始まった学徒動員へのはなむけの一戦でもあった。試合経過も60年ぶりに発見されたスコアブックによって正確に再現される。対戦までの詳細な経緯とともに、小泉信三や飛田穂洲(とびたすいしゅう)など多くの人々の苦闘を丹念に追っている。

戦前の大学野球がノスタルジックに取り上げられているわけでは全くない。野球を通じて戦争を歴史的に位置づけ、大学が戦争にどのように巻き込まれていったかが浮かび上がる。登場人物たちも印象的で、戦争という巨大な力に押し潰されたからこそ野球に懸けた青春が輝いて見えるのだろう。早慶共同執筆だが、完成度の高い作品に仕上がっている。(純)

教育評論社 1890円

Amazonで見る
楽天で見る

関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
行き詰まる東電支援<br>原発最後の選択

賠償費用も廃炉費用も想定から大きく上振れし、東電支援スキームは破綻の瀬戸際。東電の発電所を売却し、その代金を賠償や廃炉費用に充て、東電を送配電会社に再編する構想が浮上。