ウィーワーク「シェアオフィス」黒字化へ遠い道 債務超過脱せず、大企業「法人会員」に熱視線

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「ユニコーン」ともてはやされる一方、一等地のオフィスビルを転貸するビジネスモデルには「既存の不動産賃貸業と変わらない」という声も(撮影:今井康一)

オフィス界の巨人が、ついにベールを脱いだ。

アメリカのシェアオフィス大手「ウィーワーク」の親会社ウィーカンパニーは8月14日、新規株式公開(IPO)に向けた目論見書をアメリカ証券取引委員会に提出した。早ければ9月にも株式上場を果たすもようだ。

重視する価値は会員同士の「コミュニティ」

ウィーワークのビジネスモデルは、不特定多数の利用客にオフィス環境を貸し出す、いわゆる「シェアオフィス」が柱だ。ビルのワンフロアや1棟を丸ごと借り、それを利用者に転貸することで利用料を得る。目論見書によると、2010年にニューヨークで創業した同社は現在、世界29カ国に528拠点を構え、会員数は52万人以上にのぼる。日本では2018年に東京・六本木に第1号拠点を設けて以来、都内を中心に6都市で約30拠点を展開している。

「われわれは違った目でスペース(空間)を見ている。人々が出会い、コミュニティを形成し、生産性を高めあう場所としてだ」(目論見書より)

ウィーワークのシェアオフィスが他のオフィスと異なるのは、会社や業種の垣根を越えた会員同士の交流機会を重視している点だ。会員同士が緩くつながりつつ、新しい発想を生み出す「コミュニティ」こそ、シェアオフィスが持つ最大の価値だとする。そのために、オフィスフロアの仕切りをガラス張りにして会員間の風通しをよくしたり、交流を促進するイベントを定期的に開催したりしている。

高尚な理念を掲げる一方で、直近の業績は芳しくない。2018年12月期は売上高約18億ドルに対して、最終損益は約16億ドルの赤字。直近の2019年上半期(1~6月)も、売上高約15億ドルに対して赤字幅は約7億ドルとなった。

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