巨大電波望遠鏡を支える手作りの超伝導素子

宇宙の始まりを探るALMAプロジェクト

三鷹にある国立天文台へ行ってきた。敷地内の第一赤道儀室には、昔の望遠鏡がそのまま残されている
週刊東洋経済と東洋経済オンラインで交互に連載が進む「成毛眞の技術探検」。ライバルはNHKが誇る「探険バクモン」と「ブラタモリ」。日本が誇る先端技術の現場を訪問し、現場で働く皆さんにとっておきの話を聞いて回る企画だ。
これまでに巨大土木の工事現場、先端科学の研究施設などを訪問してきたが、今回は東京・三鷹の国立天文台。きみはALMA望遠鏡を知っているか?

タレントのオスマン・サンコン氏の視力が6.0と聞いたときには驚いたが、視力6000となると、人間の想像力をはるかに超える。大阪に置いた1円玉を東京から見分けられるほどの視力なのだという。そんな驚異的な視力を持つ世界最大の望遠鏡が、南米チリの標高5000メートルのアタカマ砂漠に建設されている。その名はALMA望遠鏡という。ALMAは略称であって、正式にはアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array)という。これは、宇宙空間の天体や物質が発する微弱な電波を、66台の巨大なパラボラアンテナで受け止める電波望遠鏡だ。

直径18.5キロの望遠鏡

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これがALMA望遠鏡の完成図。ALMAのAはアタカマ砂漠のAだ。写真:ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)

電波望遠鏡のいいところは、周りが明るすぎようが暗すぎようが、そこから電波が発せられていれば何かあると気がつけるところだ。ALMAは直径18.5キロメートルというほぼ山手線サイズのエリアで66台を繋ぎ合わせることで、1台の超巨大なパラボラアンテナとして使われることになる。

これにより、光学望遠鏡では見えない星や銀河の生死の兆候などを観測できる。さらには、地球外生命を発見したり、生命の起源に迫ったりできるのではと、期待は大きい。unprecedentedつまり空前絶後と形容される所以である。

 しかし、予算は空前絶後ではない。ALMAの建設のため、日本が負担した金額はたったの300億円である。国民1人当たり、わずか30円。これは、体操の内村航平選手の好物として知られる有楽製菓のチョコレート「ブラックサンダー」の価格と等しい。引き替えに得られるものの大きさを考えれば、安いものだ。

格安で済んでいるのは、ALMAは世界20の国と地域が参加する地球規模の共同プロジェクトだからでもある。もちろん日本も参加していて、アンテナ66台中、16台は日本が担当した。

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