1日「たった4分」の運動で身体能力が若返るワケ 血糖値も肝機能も改善する!

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12週間経って値がどう変化したかを見ていくと、HIITグループと有酸素運動+筋トレグループで最大酸素摂取量が有意に増加しました。

とくに若者グループでは、HIITでの増加が顕著で、有酸素+筋トレでは最大17%の増加でしたが、HIITではなんと最大28%もの増加が見られました。高齢者グループでも、HIITと有酸素+筋トレで有意な増加が見られました。

一方、筋トレだけを行ったグループでは、若者グループと高齢者グループともに、有意な増加が見られませんでした。「無酸素運動にあたる筋トレだけでは、持久力アップに限界がある」ことを裏付けるデータとなりました。

HIITは血糖値を改善する

私がHIITをとくにお勧めしたいのが、血糖値が気になっている方や糖尿病の方。中でも、食生活には気を配っているものの、運動習慣が根付いていない方はとくに大きな効果が見込めるでしょう。

糖尿病の病状改善のための研究を見ると、HIITが取り上げられる頻度がここ数年で明らかに増えています。

HIITが、筋肉にもたらす変化は大きく分けると3つあります。

1  筋肉の運動能力の増加(筋小胞体内へのカルシウムイオンの取り込み促進)
2  最大酸素摂取量の増加(ミトコンドリアの量と質の改善)
3  細胞へのグルコース(ブトウ糖)の取り込み促進(GLUT4の増加)

とくに、血糖値に影響を及ぼすのが2と3です。

インスリン感受性を上げるには、1つはミトコンドリアの量と質を改善することです。そしてもう1つがGLUT4を増やすこと。GLUT4とは、ブトウ糖を細胞内に搬入するトラックのようなもので、GLUT4が多いほど、細胞のブトウ糖の取り込み量が増えるのです。

ある調査研究結果を見てみましょう。

ここでは、「通常の運動群」「HIIT群」「運動を行わない群」の3つのグループに分けて実験を行い、最初の測定値に比べて12週間後にインスリン感受性が何倍になったかを示しています。

12週間にわたってHIITを実践したグループは、インスリン感受性が有意に改善していることがわかります。

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