エコカー減税目前に自動車販社の苦境、新税制4月導入の波紋

「ホンダにとっても自動車の未来にとっても、ハイブリッドカーの普及という新時代の幕を開けるたいへん重要なクルマだ」(福井威夫社長)。

ホンダは2月6日、ハイブリッドカー「新型インサイト」を発売した。価格は189万円からとトヨタ「プリウス」より約2割安く設定。「優れた燃費性能と走り、魅力的な価格を両立した新時代のスタンダードカー」と福井社長は胸を張る。すでに発売前には国内目標販売台数の1カ月分に相当する5000台の予約を獲得。「シビック、アコード、フィット、CR‐Vに次ぐホンダの5本目の柱にしていきたい」(同)。

5月にはトヨタが3代目の「新型プリウス」を発売する。記録的な販売不振が続く国内自動車市場にとっては久々の明るい話題の登場。だが業界内では、ある“心配事”がささやかれている。政府が4月からの導入を目指す「エコカー減税」である。

数百万台が減税の対象に

エコカー減税はハイブリッドカーや電気自動車など環境に優しい「次世代車」の自動車取得税と自動車重量税を減免する措置。減税幅は環境負荷の度合いによって3段階に分かれる。ハイブリッドカーや電気自動車は両税とも100%免税。NOx(窒素酸化物)排出量が2005年実施の排ガス規制基準値より75%以上少なく、燃費性能が10年度の基準値(ガソリン車の場合)を25%上回る車は、両税とも75%減税。同じくNOxが75%以上少なく、かつ燃費性能が基準値を15%上回る場合は50%ずつ減税する。

新税制下では購入済みの対象車も次回車検時に税負担が軽減される。少なくとも150万台以上が減税の恩恵を受けるとみられる。最廉価モデル価格が189万円の新型インサイトの場合、新税制下では現行制度より税負担が10万8500円軽くなる。購入者にとっては割安だが、裏を返せば4月以前に購入する者にとっては“割高”となる。放っておけば発売開始時の販売の勢いをくじく結果になりかねない。

ハイブリッドカー以外の車種も同様だ。たとえば日産の人気車種「セレナ」は新税制下では75%減税対象となり、4月以前と以後とでは11万円強の価格差が生じる。日産系ディーラー社員は「今は法案が可決されていないため店内でも告知はせず、客に質問されたら事情を説明する程度。でも正式に発表されれば買い控えは避けられない」と危惧する。

ホンダはインサイトについてはディーラーにインセンティブ(販売奨励金)を上積みし、値引きしてもらうなどして割高感を払拭する方向。ただ適用車種は膨大なため、全社が全車種に同じような“持ち出し”をするかは不透明だ。ある業界関係者は「エコカー減税自体は間違っていないが、4月始まりというのが最悪。いい迷惑だ」と批判する。

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