日立「英国新幹線」ひと安心、受注得て生産継続 英国中東部向けの高速鉄道車両165両が内定

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ニュートンエイクリフ工場は、現在はIEP向け車両の製造で活況を呈しているが、2020年には製造が終わる予定。その後に何を造るかが課題となっていた。もし造るものがなければ、700人あまりの工場従事者の仕事がなくなってしまう。

LNER社の路線に投入されたクラス800。愛称は「あずま」(記者撮影)
グレート・ウェスタン社の路線に投入されたクラス800(記者撮影)

同工場で造るものがなくなったらどうするのか。6月4日に都内で開催された日立の投資家向け説明会の席上、英国事業の立役者であり、鉄道事業を所管するアリステア・ドーマー副社長はこの質問に対して、「日本、イタリア、イギリスの各工場をフレキシブルに活用することで、各工場の作業量を最適化したい」と答えた。

具体的に言えば、欧州大陸向けの車両をイギリスで製造する可能性もあるということだ。2017年にはフル稼働状態だったニュートンエイクリフ工場に代わって、イタリア・フィレンツェ近郊にあるピストイア工場で英国向け車両を製造したこともある。

大型受注までの「つなぎ」

また、翌6月5日、日立はロンドンとバーミンガムを結ぶ高速新線「HS2」にボンバルディアと組んで応札したという発表を行った。

HS2はIEPに匹敵する超大型プロジェクトだけに、受注に成功すればニュートンエイクリフ工場の長期的な安定稼働が約束されるが、シーメンス、アルストムなどのライバルも応札している。日立が確実に受注できるとは限らないし、受注できたとしても生産開始までにはしばらく時間がかかる。それまでの“つなぎ”も必要だ。

日立広報によれば、今回のアベリオUK向け高速鉄道は「ニュートンエイクリフ工場で製造する」という。2022年運行開始ということなら、2020年度には製造開始する必要がある。これでニュートンエイクリフ工場も、途切れることなく生産を続けることができるだろう。

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