トヨタ「世界一のスポーツカーメーカー」への道 あのポルシェを超えるために必要なことは?

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そんなTGRが今年、この週末に発表された新しいレギュレーションで、ル・マン、WECの最高峰クラスにハイパーカーと呼ばれる新しい、市販化前提のマシンでの参戦が可能になった。GRカンパニーは早速、ここにGRスーパースポーツ(仮称)の投入を発表した。

「市販車のスポーツカーを開発するときに皆に訴えかけたのは、目指すなら世界一のスポーツカーメーカーになろうと。今、世界中に最もクルマを売っているスポーツカーカンパニーってポルシェ。もちろん大事なのは台数だけじゃないけど、ポルシェを超えるんだと言ったんです」(村田氏)

では実際に世界一のスポーツカーカンパニーになるには何が必要なのか。

本当にリスペクトされるブランド

「ポルシェやフェラーリという名前を聞くと、一種独特のなんとも説明できない気持ちになるじゃないですか。それって畏敬の念をもってもらえているブランドだということですよね。じゃあ、本当にリスペクトされているブランドは、どうしてそうなったのか。考えているときにたまたまル・マンの優勝車がずらっと書かれたポスターを見て、これだと。1950年代はポルシェ、ポルシェ、ポルシェ、次の時代はフェラーリ、フェラーリ、またポルシェ、ポルシェと来て、アウディ……ってなっていて、これなんや!と」(同)

「第2次大戦前にはフェラーリって誰も知らなかったわけでしょう? それが毎年毎年チャレンジして、レースで結果を残して、それを何回も刷り込むことで、ブランドが人の心の中に作りこまれてきた。オレたちは、だからル・マンとラリーに出て、勝つ。耐久と言えばトヨタ、GR。ラリーと言えばトヨタ、GRと刷り込んでいく。それが憧れになっていくはずだ、という」(同)

その際にはハイブリッドというパワートレインが重要になる。

「前に言われたんです『ハイブリッドって地球にやさしいシステムだと思っていたんだけど、レースに使ったらこんなにおもしろいシステムなんだな。すごいクールなんだけど、これはいつ買えるんだ?』って。それでハッとして。ハイブリッドでレースやっても市販されているのはプリウスか……とは言われてきていたし、確かに可夢偉や一貴にだけ乗らしてるのはもったいない。そういうレースに出て勝って皆の頭にイメージを刷り込んで、同時にそのレースで走っている市販車をそろえて、お客さんに渡していくというのを、10年とか20年、両方やり続ければ、ブランドができていくと今思っているんですよね」(同)

次ページル・マンで培った開発が市販車で息づく
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