インドのスラム街ツアーで見えた現実と未来 スラムはビッグビジネス?! ②

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最後にマーケットゾーン(市場地区)へ行った。

商店街のような場所で、両サイドに店が並び、人々が行き交う。

砂ボコリが舞い、笑い声が聞こえ、活気にあふれていた。

REALITYの事務所は、そんなマーケットゾーンの終わりにあった。

そこでぼくは簡単なアンケートに答え、ツアー料金を支払った。

しばらく扇風機の風にあたりながら、無料で提供されたソーダを飲む。

ここには生活があり、歴史があり、そして笑顔があった。

数時間前には、ひとつも想像してなかったことだ。

 

ビッグビジネスになるスラムは変わらない?

 もうすぐインドでは、総選挙が始まる。

インドの未来を決める、一大イベントである。

では、その後、スラム街は変わるだろうか。

街で見かける小さな店の数々、荷物を運ぶ人々、クリーニング屋、

ブックバインディング、ステーショナリーメイキング、ティーストア、

ハウスキーピング、大工、電気工、ゼロに限りなく近い低賃金で働き、

一人ひとりは少ないが合計すれば巨額の納税をする彼ら。

視点を変えたとき、スラムがビッグビジネスになっているとしたら、

このシステムを、誰が変えようとするだろうか。

ソーダを飲み干すと、ぼくはダラビの出口へ向かった。

子どもたちの笑顔は胸に刺さったままで、振り返ることはできなかった。

三浦 北斗 コピーライター CMプランナー

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みうら ほくと / Hokuto Miura

1982年、愛知生まれ、福岡育ち。2006年、慶応義塾大学SFCを卒業後、電通に入社。広告制作をはじめ、バンダイ就活応援ソングなど作詞作曲も多数手がける。海外の現地クライアントの広告制作も経験する、新世代の若きクリエーター。ニューヨークフェスティバル、読売広告大賞グランプリ、TCC新人賞など、受賞多数。

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