中国経済の矛盾が露呈し始めた バブルと景気後退の間で揺れるマクロ政策

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投資頼みの経済成長

投資頼みの経済成長にも黄信号が点灯している。前回の低迷期には4兆元の内需拡大策と超金融緩和が実施され、景気はV字型回復を果たしたが、今回は大規模な経済対策は実施されていない。

「中国は、行き過ぎた金融緩和とこれに誘発された過剰投資によって景気をカサ上げしてきたが、今後は、投資の削減を通して、健全な成長軌道に戻さなければならないという認識がエコノミストの間には広がっている」と津上氏は言う。

現状では、消費と外需合わせてもGDP成長年率4%分に達していない。このため、投資に3%以上の成長カサ上げの効果を求めてきたことになる。

しかし、投資にブレーキをかけて、たとえば2割削減するだけでも、反動で経済がゼロ成長に落ち込むリスクがある。

金融当局としては、シャドーバンキングの増大が心配なので、引き締めの方に舵を取りたいという意向があると思うが、投資のアクセルから足を離すと、景気が急減速する可能性があり、指導部はまだ覚悟を決めかねているのではないか、と津上氏は分析している。

(森佳子 編集:田巻一彦)

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