海外勢の円売り意欲、今なお健在 イベント通過までは疑心暗鬼

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国内銀行の円買い

足元でドル/円は下げ基調となっているが、海外勢は利食いを出しているに過ぎないとされている。対照的に国内勢の売りが際立つ格好となっている。週明け27日の市場で、ドル/円は午前7時すぎに101.77円まで急落。2013年12月6日以来の安値を付けたが、個人投資家のロングポジションの損切りや国内銀行の円買いが出ていたという。

本格的に地合いは悪い――。早朝の円高局面で、ある大手邦銀のディーラーも円買いに動いたという。中国関連では弱い製造業PMIのみならず、理財商品のデフォルト懸念が強まっている。今週のFOMCでは資産購入規模が100億ドル減額されることは織り込み済みながら、いざ決定された場合に新興国市場が平静を保てるか確信が持てず、円買いに向かったと話す。

ドル/円は2日に105.45円まで上昇したが、重要なテクニカルポイントの105.50円を上抜けないまま下落トレンドに転じた。「ドル/円が重要なテクニカルポイントを上抜けなかったことで曲がり角を曲がった」(外銀)という。

ドル/円の105.50円どころは、2007年の高値124.14円から2011年の安値75.31円までの下げ幅の61.8%(黄金分割)戻しの水準に当たる105.486円が近い。

今後2週間はイベントが目白押しであり、ドル/円は不安定な展開が続きそうだ。28日からはFOMC、31日から中国は旧正月に入る。2月7日の1月米雇用統計では2カ月連続の悪化が懸念されている。前出の大手邦銀関係者は、ドル/円について「底抜けへの恐怖心を抱えながらの2週間となりそうだ」と話している。

(和田崇彦 編集:伊賀大記)

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