資金繰り難の不動産業界、“ドミノ倒し”の危機


 2月5日、マンションデベロッパー大手の日本綜合地所が会社更生法適用を申請した。負債総額は2142億円に上り、昨年8月に民事再生法の適用を申請したアーバンコーポレイション(同2558億円)に次ぐ規模だ。

昨年11月、新卒者53人に対する内定取り消しが明らかになり批判を受けたが、それから3カ月足らずで経営破綻に追い込まれた。同社は1993年の創業と歴史は浅いが、急成長を続け、首都圏のマンション販売戸数では2位(不動産経済研究所調べ)の座にあった。事業の行き詰まりについて、創業者の西丸誠社長は「金融機関へ出す追加担保がなく、2月6日期限の手形32億円が決済できなかった」と会見で説明した。実は昨年11月、100億円の社債償還のために銀行借り入れを行った際、担保となる資産をすべて吐き出していた。

「秋口からの販売不振はあまりに突然だった」と同社は説明するが、「見通しの甘さ」を指摘する業界関係者も少なくない。米国のサブプライムローン問題の影響は、不動産業界全体では昨年初めから徐々に顕在化していた。一方、同社の棚卸資産は2008年3月末の1465億円から第2四半期末には1600億円まで膨らんでいる。拡大路線が体質化していたことで、市場の変化への対応が遅れた可能性は否めない。

見えぬ市況回復期

マンション販売の厳しさは年明け以降も変わらない。一部業者からは、価格下落を受けて客足が回復傾向との声もあるが、「住宅ローン減税と価格値下げを前提の様子見客が多く、市況反転の可能性は未知数」(東京カンテイ市場調査部の中山登志朗氏)だ。

急速な販売不振と単価下落のダブルパンチにあえぐマンション業者にとって、資金繰りが生死を分ける状況にある。新興デベロッパーのプロパストは、金融機関に対して完成物件の販売スケジュールに合わせた返済期日の延期や、建設会社に対する営業債務の返済繰り延べを要請しており、同様の資金繰りに奔走する企業は多い。

一方、資金パイプを持つ企業はその強化に乗り出している。藤和不動産では2月中に親会社である三菱地所に第3者割当増資を実施し、100億円を調達。株式交換で完全子会社となる道を選んだ。コスモスイニシアも資金繰りを目的に、2月中に賃貸管理子会社株式を筆頭株主である投資ファンドに全株譲渡し、100億円を取得する。

市況回復の時期が見通せないだけに、今後も資金繰りに行き詰まる企業が出てくる可能性は高い。不動産業界は“ドミノ倒し”の様相を強めている。

(日暮良一 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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