60歳以上の会社員に稼ぎ口の確保が難しい事情 「日本型雇用」の壁を意識して事前の備えを

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『週刊東洋経済』は7月13日発売号で「人生100年時代の稼ぐ力」を特集。そこでは副業と資格&学び直しを切り口に、長く働き続けるための道筋を紹介している。

少子化で労働力が不足する中、女性活躍や外国人活用とともに期待されているのがシニア人材の活用だ。「公的年金だけでは老後に2000万円不足する」とした金融庁の報告書に不安が募り、収入維持のためにも長く働き続けたいと考えた人も少なくないだろう。

すでに国は高年齢者雇用安定法で、企業に65歳までの雇用機会確保を義務づけている。ただ厚生労働省の調べでは、65歳以上のシニア人材雇用については、現状では大企業の約2割しか制度を導入していない。そこで国は成長戦略で、企業に70歳までの雇用機会確保の努力を課す方針を掲げ、義務化も視野に入れる。

企業の雇用延長は閑職が多い

しかし、国がいくら企業にシニア雇用を促しても、戦力として活用できるかは別問題だ。とくに課題となるのが、1つの企業で複数の部署を渡り歩いてきたゼネラリスト型人材。シニアでもそうした人材を活用しようとする、冒頭のパソナのようなケースはまだ一部にすぎない。

その結果、多くの企業で再雇用されても、実質的には閑職に追い込まれ、モチベーション低下やポスト不足といった課題が生じることが浮き彫りとなっている。

「定年後の再雇用は年金支給までの空白期間を埋めるもの。企業は本音ではやりたくないはず」。ある大手企業OBはそう語る。「大半の同僚が再雇用を選んだが、パソコンの前に座るだけで、やることがないと嘆いている」(同)。

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