凍てつく金融市場、日本にも襲いかかるマネーパニック最前線

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 「米国や欧州諸国では銀行の資金調達に政府保証が付いたが、日本の銀行の場合、政府保証が付いていないので資金を提供できない、という理由からだった」(大手邦銀)。

欧米では銀行の信用力が失墜し、自力での資金調達が困難となったがゆえの政府保証であり、邦銀が政府保証なしで資金調達できるのは信用力を維持できている証しである。にもかかわらず、論理が転倒し調達難に直面した。「悪貨は良貨を駆逐する」との格言のような事態の下で、邦銀は日本で調達し、現地に送金するという対応に追われてしまった。一般企業の現地法人はなおさら深刻だった。

そんな笑えない冗談話のようなドタバタ劇は、年越え資金の確保が済んだことで年明けとともに収まったかにみえる。だが、それはおそらく束の間の安らぎにすぎない。年越えと並ぶ年度末(3月決算期末)越え資金の確保という資金調達のヤマ場が時々刻々と迫っているからだ。

現に、公金市場では「年が明けても高いレートの高熱状態続き」(大手銀行)だし、ドル資金調達市場の熱の高さも変わらない。CP市場も高めのレートが続いている。

08年末以後、日銀は社債など日銀担保要件の緩和、CP買い切りオペ(3兆円規模)等々、金融市場への流動性供給手段の拡大策を立て続けに実施している。

その効果が今後ジワジワと発揮されてくることが期待されるが、その一方、2月から3月には一般企業の間で過去に発行した社債の償還が続出。償還資金の手だてが企業の間で必要になり、最近のリストラに伴う資金需要が巨大化することも避けられない。このような企業金融の厳しさは勢い、インターバンク市場における銀行の資金調達拡大という圧力に転じることだろう。

目先3月まで、08年暮れに発生したマネーパニックが再燃する可能性は決して低くはない。


(週刊東洋経済)
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