シャープは今期最終赤字転落、主力の液晶関連事業が大誤算、テレビ用パネル工場で大規模生産調整

シャープは今期最終赤字転落、主力の液晶関連事業が大誤算、テレビ用パネル工場で大規模生産調整

シャープは、今2009年3月期見通しを大幅に下方修正し、営業損益を1300億円の黒字から300億円の赤字へ、最終損益も600億円の黒字計画から1000億円の赤字へ引き下げた。収益柱の液晶テレビや液晶パネル事業の採算が急激に悪化、一昨年秋に資本提携したパイオニア株の評価損や液晶事業の構造改革費用など、総額1200億円近い特別損失も計上するためだ。同社の赤字転落は1950年以来。

08年10~12月期(第3四半期)は、売上高が前年同期比で20.2%落ち込み、営業損益は158億円の赤字(前年同期は519億円の黒字)に陥った。秋口に大量の液晶テレビ関連在庫を抱えていた同社は、在庫をさばくために北米等で極端な安売りを余儀なくされ、同期は液晶テレビ事業が大幅な赤字を計上した。携帯電話端末も国内市場縮小で不振を極めたため、AV・通信機器部門が223億円の営業赤字に転落した。利益の太宗を稼いできた液晶パネル部門も10~12月期の営業益は55億円と前年同期比で8割近く落ち込んだ。テレビ用パネルの単価急落に加え、携帯電話、デジカメ等のモバイル機器向け中小型液晶の需要低迷が響いた。

一方、12月末の在庫は5094億円と9月末から逆に増え、特に液晶テレビ関連を中心に過剰な在庫を抱えている。このため、テレビ用の大型液晶パネルは今年明けから三重・亀山第1工場の操業を止め、主力の亀山第2工場でも大幅な減産に踏み切った。「現在、大型パネルは実質的に操業度を4割程度にまで落としており、1~3月で在庫水準を相当に絞り込む」(濱野稔重・シャープ副社長)という。

販売環境悪化に加え、こうした工場稼働率低下や在庫処分費用が響き、09年1~3月期は600億円超の営業赤字になる見込み。また、通期決算はパイオニア株等の有価証券評価損のほか、500億円の事業構造改革費用(主な中身は中小型液晶設備の一部減損や亀山第1工場の操業停止損など)を特損に計上するため、最終赤字が膨らむ。

今回の赤字転落を受け、同社は固定費で1000億円、原材料等の変動費も含めた総経費ベースで2000億円のコスト削減目標を設定。中小型液晶で競争力の落ちた製造ラインの減損によって、来10年3月期の償却負担を軽くするほか、国内の非正規社員1500人の契約延長を見送る。コスト削減目標を実現するために追加の構造改革案等を詰めており、3月上旬までに詳細を発表する、という。操業を停止している亀山第1工場については、閉鎖等の抜本的な対応策が必要になろう。

なお、同社は大阪・堺に大型液晶パネルの新工場を建設中だが、急激な経済環境の悪化に加え、ソニーとの工場合弁協議が難航するなど大きな誤算に見舞われている。

会見の席上、報道陣から同工場の先行きを不安視する質問が出ると、濱野副社長は「2010年3月までに動かす計画は変えていない」とコメント。そのうえで、「現在のペースで生産調整を続けると春以降はパネルの過剰感が消え、年後半はむしろ足りない状況になるだろうから、堺を来年3月までに動かす必要がある。そして何よりも、堺の圧倒的なコスト競争力は当社にとって大きな武器になる」と堺工場稼動の必要性を改めて強調した。

(渡辺 清治)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
連本2008.03  3,417,736 183,692 168,399 101,922
連本2009.03予 2,900,000 -30,000 -50,000 -100,000
連本2010.03予 2,600,000 -10,000 -30,000 -50,000
連中2008.09  1,562,427 50,759 37,548 28,011
連中2009.09予 1,250,000 -20,000 -33,000 -40,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
連本2008.03  93.2 28 
連本2009.03予 -90.9 21 
連本2010.03予 -45.4 14-21 
連中2008.09  25.5 14 
連中2009.09予 -36.3 7-10 

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