労働組合は本当に労働者の味方か? 問われる存在意義《特集・雇用壊滅》

労働組合は本当に労働者の味方か? 問われる存在意義《特集・雇用壊滅》

「労働者派遣法が諸悪の根源だとしては問題の本質を歪めることになる」。1月14日、憲政記念館で産業別組織UIゼンセン同盟の落合清四会長は声を張り上げた。製造業派遣の二つの業界団体も参加した「非正規労働者雇用対策緊急集会」と題されたこの集会では、派遣事業の健全で公正な発展を目指すことを決議。派遣法改正問題に関しては「業界の健全な発展を促すよう働きかけていく」と述べるにとどめた。

対照的だったのがこの翌日開催された、年越し派遣村実行委員会主催の集会だ。「やっぱり必要! 派遣法抜本改正」のタイトルどおり、登録型派遣の原則禁止や派遣先の「みなし雇用」責任の制定などを求めた。

UIゼンセン同盟の集会でも、派遣村についての言及はあった。「心を痛めたのは私だけではないはず」(橋本和秀副書記長)、「働く仲間の窮状に有効な手はないかを考えさせられた」(落合会長)。ただ両者の主張は大きく異なる。UIゼンセン同盟の決議は、参入規制による健全化という業界団体の主張に近い。

UIゼンセン同盟(以下、ゼンセンと略称)は繊維や流通、外食・サービスなど生活関連を加盟組合とする産業別組織だ。派遣労働者やパートタイマーなど非正社員の組織化で拡大し組合員数103万人に至り、今や日本最大の産業別組織へと成長した。連合内での発言力も強く、高木剛会長の出身母体でもある。

ゼンセン内で、派遣法について積極的な発言を続けるのが、傘下の人材サービスゼネラルユニオン(JSGU)だ。連合は2007年9月、中央執行委員会で「労働者派遣法の見直しに関する連合の考え方」を取りまとめた。登録型派遣の原則禁止や、派遣先のみなし雇用規定などが示され、派遣村実行委の主張とほぼ重なる。これにJSGUは強く反発。自らの主張を公表し、登録型派遣・日雇い派遣の禁止について反対を明言。派遣法をめぐる連合主催のシンポジウムでも、フロア発言で連合方針を痛烈に批判する一幕があった。

彼らの主張を歓迎したのが、労働者派遣の完全自由化を主張してきた、経済財政諮問会議と規制改革会議だ。諮問会議の八代尚宏民間議員(当時)は本誌08年8月16日号でJSGUの提言を取り上げ、「肝心の派遣労働者の組合は『派遣は諸悪の根源ではない』と(日雇い派遣の)禁止に反対している」と主張。規制改革会議労働タクスフォースの福井秀夫主査も08年度第4回の会議で、日雇い派遣労働者の日本最大の労働組合からの意見聴取もしているとして、「労組としては規制強化がなされることでかえって雇用が失われることのほうをむしろ懸念する、したがって規制強化には反対である」との彼らの主張を紹介している。

両会議が彼らの主張に引かれたのは、JSGUが派遣労働者を、ゼンセンがパートタイマー等を含めた非正規労働者を最も組織化しているためだろう。だが彼らの組織化の手法を検証すると、話はそう単純ではない。

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