ミニバン劣勢のトヨタ、ついに切り札投入 「ヴォクシー」と「ノア」を6年半ぶりに全面刷新

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広くなった新型ヴォクシー/ノアの室内空間

一方で、セレナより見劣りする部分もある。

セレナは衝突回避・被害軽減ブレーキや車線逸脱警報などの先進安全装備を標準搭載(最も安価なグレードを除く)するが、今回のヴォクシー/ノアには用意されていない。安全技術担当の吉田守孝常務役員は「今、開発中でタイミングの問題」と早期対応をにおわせた。

月間販売目標はヴォクシーが4600台、ノアは3400台。昨年12月中旬から受注を開始しており、すでに3万台に達した。このうちハイブリッド比率は42%。ハイブリッド車の発売がガソリン車より一月遅れることから、当初のハイブリッド比率は低くなっており、最終的には55%になるとトヨタは見込む。

TNGAも一部導入

今回の新型ヴォクシー/ノアでは、エアコンやウインドレギュレーター(ドアガラスの昇降部品)、シートアレンジの機構など一部の部位で、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)も導入された。

TNGAはトヨタの自動車開発・生産の改革のことで、開発段階から自動車の基本部位を共通化し、開発効率の向上や原価低減(とそれによる商品力の強化)、グローバルでの柔軟な生産を可能にすることを狙っている。吉田常務によると、本格的にTNGAが取り入れられた自動車が投入されるのは2015年からだが、昨年末発売の新型ハリアーに続き、新型ヴォクシー/ノアでも一部先取りした。

圧倒的な低燃費を誇る新型ヴォクシー/ノアが消費者の心をつかむのか。それとも安全性能が充実したセレナの牙城は揺るがないのか。戦いの火ぶたが切って落とされた。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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