「ゾゾスーツ=失敗」と考える人によくある盲点 アマゾンも「このトレンド」を模索している

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最近ようやく日本でも知られてきたが、中国の消費社会は日本よりもデジタル化が進んでいる。もともと日本のようにしっかりとした生活インフラがなかったため、スマートフォンを軸としたデジタル化がいっきに進んだからだ。

具体的には、「アリペイ」などの電子決済や「ビンゴボックス」などの無人コンビニの普及などである。

中国のこのような急速なデジタル化は、アパレルにおいても同様に起こっている。中国市場のアパレルEC化率は、すでに25%を超え日本の約2倍だ。その中で現在、マス・カスタマイゼーションがブームとなりつつある。

そのブームを牽引するのが、「衣邦人(YBREN.com)」だ。

ユニークな発想で成長する「衣邦人」とは

「衣邦人」は、メンズのシャツやスーツをオーダーで展開する。2017年の12月期の売り上げが50億円を超えるまでに成長し、売り上げは年々倍増している。「衣邦人」の成功には、大きく2つの背景がある。

① SMLではおさまりきらない多様性

1つめに、体型のバラツキが大きい中国では、既成のサイズ展開ではカバーしきれず、サイズのカスタマイズが価値になることだ。例えば、中国では南北で女性の平均身長に10センチの差があり、骨格や体型もかなり異なる。

当然、必要なサイズ展開も地域により異なるため、日本のようにSMLのサイズ展開では間に合わない。

このように体型のバラツキが大きい中国では、とくにフィット感が価値となるメンズのスーツやシャツにおいて、強い「カスタマイズニーズ」が存在する。

このニーズに対して、ECを用いたリーズナブルな生産販売システムをいち早く確立したのが「衣邦人」なのである。

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