声優に憧れる人が知らない決して甘くない現実 フリーザ声優が教える声優に求められる資質

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午前の収録は10時からというのが基本ですが、ちゃんと自分で起きて行ける必要があります。どんなに技術や演技力があっても、朝起きられないと仕事ができません。一般企業に勤めている人からしたら当たり前のことですし、10時なんて遅いほうだと思います。だけど、やっぱりできないという人もいるんです。残念ながら、それが理由で廃業してしまったという人も実際にいました。

若手に対してはマネジャーがそうした部分の教育も担っていますが、プロとして仕事をする以上、自己管理というものは必須になります。

いまの声優に求められる能力とは

オーディションのためのボイスは事務所にある録音ブースで収録するのですが、音響監督の代わりにマネジャーが立ち会います。

声優が生の俳優と違うのは、当たり前ですが役者が作品の表に出ないことです。以前はそれこそ裏方感が強くありましたが、声優ブーム以降は、声優がキャラクターを離れて、活動することが多くなりました。アニメ雑誌も次々と創刊されて、インタビューを受けたり、声優のラジオ番組も盛んにつくられました。

いまでは、アニメ作品のメインキャストになった場合は、本編で声を当てたら終わりということはほとんどありません。番宣のためにイベントに出たり、作品によっては歌ってCDを出したり、そのままコンサート・ライブを行ったりもします。

以前も外伝的なドラマCDをつくったり、人気作品では派生的な仕事がありましたが、いまではビジネス的にほとんどそうしたことが前提になっています。それに伴って声優が生の活動をすることが当たり前になり、トークもうまい、歌もうまい、踊りもうまい、ということが求められています。

昔の役者もそれらはやっていましたが、芝居の一部としてでした。かつては、それぞれの領域にはプロがいて、あくまでも自分たちは役者だという感覚だったのです。

それが今や声の演技だけではなく、マルチにプロ並みのことを求められるのですから、大変だろうと思います。もちろん、そういう活動ができるから声優になりたいという人も多いでしょうが、生半可なことではできません。

ところで、声優が売れるきっかけとしては、やはりキャラクター人気というものがあると思います。いわゆる「当たり役」というやつですね。作品自体の人気、そしてキャラクターの人気を経て、声優に注目が集まるわけです。

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