オバマは100日で不良債権買い取り銀行を成立させられるか--景気や株価・ドルへの影響は…!?


ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
チーフ・ファイナンシャル・ストラテジスト 松尾健治

2009年1月27日(火)NY時間夕方17:00(日本時間1月28日朝7時)過ぎ、米CNBC放送が「オバマ政権は不良資産などを銀行から買い取る『バッドバンク(Bad Banks、悪い銀行/旧勘定、不良資産買い取り銀行)』計画を決定しようとしている。 『バッドバンク』計画は来週初めにも公表される可能性」と報じた。

これが米国の株式の買い材料、米ドルの買い(円の売り)材料となった。その後のブルームバーグなどの報道は「『バッドバンク』はFDIC(米連邦預金保険公社)が運営する可能性がある」と言っている。この「バッドバンク」計画については、既に、オバマ大統領就任(1月20日)前の1月16日にも報じられていた。さらに、1月21日にはガイトナー財務長官が自分の指名承認公聴会で「『バッドバンク』計画を検討している」と語っていた。

このバッドバンク構想は米国に限った話ではない。英国やドイツなどでも進んでいる話である(1月15日付英タイムズ紙、1月17日付英デーリーテレグラフ紙、1月23日付南ドイツ新聞など)。

「バッドバンク」と言うと、思い出すのが、日本の「産業再生機構(IRCJ)」である。 その「産業再生機構(IRCJ)」の景気や株、為替に対する意味を理解するため、まずは日本の「共同債権買取機構(CCPC)」と「整理回収機構(RCC)」を説明しよう。

<日本の共同債権買取機構(CCPC)、米国のM-LEC>

共同債権買取機構(CCPC)」は日本の不良債権処理を促進することを目的とし、160以上の民間銀行などの共同出資によって、1993年1月27日に発足した株式会社(Cooperative Credit Purchasing Company/CCPC、2004年3月解散)である。銀行が持ち込む不良債権を買い取って取立てをして処分するもので、その資金は買い取りを依頼した銀行が拠出する。 さらに、買い取り後の損失つまり二次損失が出ると、その銀行が負担することとなっていた。つまり公的資金を使わないものであり、結果としては、二次損失が発生し、その銀行の負担となっていた。銀行は負担を嫌がり(損失が大きければ債務超過、破綻にもなりかねないので)、本当の意味での不良債権分離にはならず、この「共同債権買取機構(CCPC)」では不良債権処理が進まなかった。

なお、「公的資金を使わずに銀行などによる買い取り」と言う意味からして、CCPCは米国の「M-LEC」と似ている。これは、2007年10月15日に米財務省が主導し、米シティグループ(米銀最大手)と米バンク・オブ・アメリカ(米銀2位)と米JPモルガン・チェース(米銀3位)が他の銀行等の参加を募って設立を発表した「M-LEC」、「マスター・リクイディティ・エンハンスメント・コンデュイ」、別名「スーパーSIV」、「SIV救済基金」、「サブプライム(低信用者向け住宅ローン)対策基金」と言うものである。この「M-LEC」は2007年12月21日付ウォールストリートジャーナル/WSJ紙に「取りやめ」と報じられていた。

<日本の整理回収機構(RCC)、米国の整理信託公社(RTC)、米国のTARP>

銀行の負担およびその回避姿勢から不良債権処理が進まなかった「共同債権買取機構(CCPC)」の次に登場したのが「整理回収機構(RCC)」だ。「整理回収機構(RCC)」は日本の財務省所管「預金保険機構(Deposit Insurance Corporation of Japan/DIC)」の100%出資によって、1999年7月26日に設立された株式会社(The Resolution and Collection Corporation/RCC、今も存続)である。

「共同債権買取機構(CCPC)」が民間の株式会社であったのに対し、「整理回収機構(RCC)」は公的なものとなる。しかし公的と言っても、「整理回収機構(RCC)」は二次損失を事実上認めておらず、不良債権を安い価格でしか買い取りするしかなかった。こうなると、不良債権を売る側の銀行は一次損失を避けるべく不良債権を売りにくい。また、企業も相手が銀行から整理回収機構に代わることを嫌がり銀行もイメージが悪くなるので不良債権処理は進まない。さらに、不良債権と一言で言っても、主力の銀行と非主力の銀行がいて、主力と非主力の間で主張が異なり、処理が困難となる場合もある。

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