ロイヤルエンフィールド、新型バイクの正統進化 1960年代を彷彿させるコンチネンタルGT650

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100年以上の伝統があるブランド「ロイヤルエンフィールド」。このバイクは『ROYAL ENFIELD CONTINENTAL GT650』で2019年3月から予約も開始している(東洋経済オンライン編集部撮影)

ロイヤルエンフィールド……そう聞いてピンときた読者は相当なバイクマニアと言えるだろう。近年のバイクに興味があったとしても、さして英国製バイクに特別な思いがなければ、この名前を知る由もない。

そう、このブランドは1960年代に世界グランプリで好成績を納めた日本車勢の煽りを受け1970年にイギリスで倒産したバイクメーカーだ。

世界で最も長い部類に入る英国のバイクメーカー

その歴史は世界中のバイクメーカーの中でも最も長い部類に入る。産業革命の流れに乗り19世紀半ば、ミシン針や機械部品の製造会社として英国ウスターシャ州で起業された「ジョージ・タウンゼントアンドカンパニー」がこの会社のスタートだ。

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1901年には量産エンジン付きバイクを発売し、1912年にはオリジナルエンジン搭載のモデル160を発売。1916年には2サイクル3気筒を発表するなど内燃機関創世記のメーカーとしてさまざまな技術的トライが行われた。

1920年代にはオリジナル設計の単気筒OHV350ccと488ccエンジンも発売。1931年には現代までそのコンセプトを継承する350cc単気筒エンジンの「ブリット(Bullet)」を発売した。

世界中が巻き込まれた第二次世界大戦では軍需供給を余儀なくされた。戦後は新型2気筒エンジンのバイクに当時としては最先端システムのテレスコピックフロントフォーク、リヤにはまだ一般的ではなかったスイングアーム式サスペンションを採用。ハンドリングの向上を達成している。

しかしながら、世界大戦以前に設計された「ブリット」の市場での需要は増えるわけもなく、北米市場に向けた新製品もヒットするには至らなかった。

1962年に会社は買収され経営方針が変更。英国で生産されていた「ブリット」の生産を、すでにサテライト工場として機能していたインドに切り替えるなどして「ブリット」の生産を継続し、現在まで続いている。

筆者によるコンチネンタルGT650の走行風景。直立からのバンクへの移行も極めて自然だった(編集部撮影)

買収されて以降、英国で生産されるシリーズとして当時流行だったカフェレーサースタイルの「コンチネンタルGT」と「インターセプター」を発売。最終的には750cc近くまで排気量を上げるも、先に述べたとおり、高性能で安価な日本車勢に太刀打ちできず1970年に英国でのロイヤルエンフィールド社は幕を降ろすこととなった。

結果的には、インドのエンフィールドインディアとしての生産ラインが、オリジナルモデルである「ブリッド」を作り続けたことでロイヤルエンフィールドブランドが継承、紆余曲折しながらも今回の「コンチネンタルGT」という1960年代のネーミングを復活させることとなった。

『ROYAL ENFIELD CONTINENTAL GT650』の筆者による試乗風景
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