体調最悪!ピンチの時の正しい水分補給法 二日酔いにインフルやノロウイルスにどう対処する?

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インフルやノロの時の水分補給法

冬場に脱水症状を起こしやすいのは、飲酒だけではない。有識者が組織する「教えて!『かくれ脱水』委員会」の副委員長も務める谷口教授は、さらなる警鐘を鳴らす。

「インフルエンザやノロウイルスにかかっただけでは、命に影響はありません。それに伴う脱水症状が命を脅かすのです。発熱による発汗、嘔吐や下痢などで、どんどん体内の水分は放出されます。特にノロウイルスのように、嘔吐や下痢の症状があると、水分を控える傾向がある。嘔吐や下痢で出た分、水分を補うことが重要です」

吐き気に見舞われながら水分を口にすれば、すぐに吐き出してしまうことはある。飲みたくても飲めない。ところが、ノロウイルスで始まった吐き気は、3~6時間程度で一瞬、治まる時期が来るそうだ。飲めるチャンスを見逃さないことが肝心。また、吐き気の後に襲ってくる下痢は、嘔吐よりもさらに脱水症状に拍車をかける。しかし、水分を補給すると「下痢がひどくなりそう」と思うのは、決して珍しいことではない。それが落とし穴。

「体外へ放出した分だけ、水分補給をするのが理想です。世界保健機関(WHO)では、脱水症状を防ぐために電解質を含む『経口補水液』を推奨しています。一気に水分を補給するというより、少しずつ飲み続けるのが基本。何も口にせずに下痢だけの状態が続くと、小腸の働きも悪くなります」(同)。

小腸は食べ物を消化吸収する臓器だが、その粘膜には免疫をつかさどるリンパがたくさん点在する。小腸は人間の免疫力の7~8割をつかさどっているそうだ。何も口にせずに、小腸を長時間動かさないでいると、免疫の働きは悪くなり、回復にも影響するというからご用心。

「インフルエンザやノロウイルスのときには、経口補水液や重湯などで小腸を動かしていると回復が早い。吐き気や下痢の症状があっても、少しずつ水分補給などを心掛けていただきたいと思います」と、谷口教授はアドバイスする。

安達 純子 医療ジャーナリスト

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あだち じゅんこ / Junko Adachi

東京生まれ。医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。大手企業のOLから転身。フリーランスの雑誌記者としてさまざまなジャンルの取材を行う中で、病気の発生メカニズムに興味を持ち、医療関係の記事の執筆に比重を置くようになった。現在は、先進医療といった最新の医療状況をはじめ、免疫疾患や感染症などに強い関心を持つ一方で、生活習慣病といった身近な病気を対象とした記事を数多く新聞等で連載中。身体に個人差がある中で、その人にとっての健康とはなにか。病気の仕組みはどこまで解明できるのか。また、未知の病気の正体はどこにあるのかなどをテーマに現在取材を進めている。

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