イオン、スーパーが苦戦し通期計画は未達も イオンの第3四半期決算は増収だが減益

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今期に子会社化したダイエーに目を向けると、第3四半期は営業損失79億円、最終損失191億円を計上し、2014年2月期の業績計画を黒字見通しから営業損失60億円(最終損益は未公表)に下方修正した。

今期の営業利益は黒字見通しから一転赤字予想へ

減額の最大の理由は、衣料品の不振。当初計画では第3四半期に衣料品は既存店ベースで前年同期比横ばいを計画していたが、天候不順や商品・売り場改革が途上にあることから、5%減で着地。値下げロスから粗利率が悪化した。

また、食品も2012年9月から2013年11月まで合計7回に及ぶ1000品目単位でのナショナルブランド商品の大量値下げを行っている。計画には織り込み済みだが、これも粗利率低下の一因だ。また、夏場の猛暑で光熱費を中心に販管費も計画比で増加した。

既存店売上高全体では衣料品の不振から第3四半期1%増計画が0.1%減となり、第4四半期も当初4%増計画を2%増に修正し、下期(2013年9月~2014年2月)1%増、通期横ばいを計画。12月実績は3%減だったが、「消費増税前の駆け込み需要を考えれば、十分に達成可能」(ダイエー)としている。また、衣料品の値下げロスの平準化で、第4四半期は営業黒字化する公算だが、これも前年同期の営業利益を前提にしており、「売上高が達成できれば可能」(同)としている。

イオン傘下「ダイエー」の屋号はどうなる?

今期は新店13、退店16、改装40を予定し、第3四半期までに、それぞれ8、13、30が実施された。第4四半期は衣料品の商品・売り場改革を進め、2014年度に予定する東京・碑文谷店など旗艦店の大型改装につなげていく見通し。現状では改装店舗は改装前に比べ20%増の売上高の実績があり、これによって2014年度は営業黒字化を目指す。

イオンとのシナジーとしてリファイナンスや借入金利の低下、またPB統合などが実施されたが、今後の注目は店舗の屋号の統合や店舗閉鎖がどうなるかだ。

この点について、10日のイオンの決算会見で村井正平ダイエー社長は「屋号の統合については決定していない。店舗閉鎖は、耐震面などで今後、対応できない出来ない店舗を除き、できる限りしたくない」と話すにとどめた。イオンPB「トップバリュ」の品目数は、2013年2月期が3500品目(年商180億円)だったが、第3四半期末で4800品目となり、2014年2月期末には5000品目に増える公算だ。ダイエーにとって、来期の営業黒字は至上命題であり、正念場の1年になる。

(撮影:尾形文繁)

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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