(第34回)近世日本人数学者列伝~森重文~(後編)

桜井進

●フィールズ賞受賞理由「3次元代数多様体の極小モデルの存在定理」

ICM90 会場、国立京都国際会館での舞楽「五節の舞」
フィールズ賞選考委員会委員長ファデーエフからフィールズメダルを受け取る森重文
ICM90 京都で自らの理論を説明する森重文
広中平祐による森重文の業績紹介
 森重文の専門は広中平祐(連載第31回第32回)と同じ代数幾何学です。多項式の零点の集合を代数多様体といいます。例えば図形としての円は、多項式でx2+y2.r2=0 を満たす点(x,y) の集合(零点の集合)と言い換えられます。多項式でx2+y2.r2=0 は2次式なので、その曲線は2次曲線と呼ばれます。多項式x2+ay2.1=0 の零点の集合はa の値によって双曲線、平行線、楕円に分類されます。多項式の係数と多様体(代数曲線)の形の関係が見えてきます。
 このように、多項式から多様体(「図形」を一般化・抽象化した概念)をみるのが代数幾何学と呼ばれる分野で、ここでの幾何(図形)を代数多様体といいます。代数幾何学とは、次元の高い(つまり見えない)代数多様体の性質を調べる分野ということになります。そして、「代数多様体の分類」こそ大きな目的となっているのです。森重文自身は次のように説明しています。
 代数幾何とは何かは説明しにくいように言われているけれど、四則演算しか使わないのだから、「図形」が目に見えないということを気にしなければ、それほどでもないと思います。代数幾何とは「連立方程式で表される図形」だから、いくつか絵を描いてそんなものだという感じをつかんでもらえればいいんです。抽象画のような絵しか描けないんですけど、論理を追う論理力と想像力というか柔軟さがあれば、そんなに難しいことだとは思いません。
「森重文インタビュー」
(「数学セミナー」1991年2月号臨時増刊 国際数学者会議ICM90 京都、日本評論社)
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