再開発で「ダサさ」一掃の池袋、目指すは「渋谷」? 「ダイヤゲート」が完成、西も東も様変わり

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線路上にビルを造ることで生まれたのは広いフロアだけではない。2階には「ダイヤデッキ」が生まれた。ここからは真下を行き交う西武鉄道の列車を眺めることができる。新たな鉄道観察スポットとなりそうだ。

そのダイヤデッキは大規模災害時に最大約2000人を受け入れる帰宅困難者一時滞在施設としても機能する。ダイヤゲート池袋は中間免震構造や72時間非常用発電機をはじめとした信頼性の高い電力供給、上下水のバックアップで防災面にもこだわっている。

そして、ダイヤデッキ横ではある工事が進む。

それはビックリガード上空デッキだ。ビックリガードとはダイヤゲート池袋の横にある西武池袋線のガードのことで、ガードの上空にさらにデッキが造られている。このデッキは将来的に池袋駅を東西に結ぶデッキ整備構想につながる。

1日平均乗降人員が約260万人の池袋駅では地下通路が混雑している。そこで、東西を結ぶデッキをJR池袋駅の南北に2本造ることで快適な移動空間をつくろうというのだ。さらには災害時に発生することが想定される帰宅困難者の一時待機場所にもなる。また、デッキを多目的に利用することで新たな魅力発信スポットにすることもできそうだ。

水戸岡鋭治氏がデザインする「イケバス」(写真:豊島区)

回遊性でいえば、11月には池袋駅周辺を走る電気バス「イケバス」が運行を開始する。これは株式会社シンクトゥギャザーが販売する16人乗りの低速電気自動車「eCOM-10」を利用し、各地のユニークな鉄道車両のデザインを手がける水戸岡鋭治氏がデザインを担当し、赤を基本にしたものとなった。

池袋駅周辺の4つの公園を回遊するルートになる予定で、運行事業者は昨年9月に高速バスを運行するWILLER株式会社に内定した。

こうした低速電気自動車による回遊バスは群馬県桐生市や長野県飯田市などでは運行しているが、東京都内では初めての取り組みとなる。この低速電気自動車によるバスは豊島区の構想するLRTにもつながるもので、多くの人が利用することになれば、LRT構想も具体化していきそうだ。

公園と劇場の建設・整備も進む

そして、この低速電気自動車によるバス路線沿いの公園整備も進む。

2016年にお披露目され、それまでのイメージを一新した南池袋公園をはじめとして、今年11月には東京芸術劇場の前にある池袋西口公園と旧豊島区庁舎跡地に隣接する中池袋公園が整備を完了し、来年にはサンシャイン池袋の東側にある造幣局跡地に防災公園が整備される。

かつ、旧豊島区庁舎跡地には回遊バス運行開始と同じ11月に「Hareza(ハレザ)池袋」が一部開業する。この施設は国家戦略特区の認定を受けた複合再開発により生まれるもので、官民一体のプロジェクトとして事業が行われている。豊島区は2016年に「豊島区国際アート・カルチャー都市構想 実現戦略」を掲げており、このハレザ池袋はそのシンボルとしての役割も担う。

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